2017 Fiscal Year Research-status Report
セルロースナノファイバー表層への分子認識機能付与とその作用機序
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16K05802
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Research Institution | Tomakomai National College of Technology |
Principal Investigator |
甲野 裕之 苫小牧工業高等専門学校, 創造工学科, 准教授 (70455096)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田島 健次 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00271643)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | セルロースナノファイバー / 疎水化 / シクロデキストリン / 固体NMR |
Outline of Annual Research Achievements |
酢酸菌の旋回培養法によって合成したセルロースナノファイバー(CNF)を大量合成し、その分子構造、および動的ダイナミクスを固体NMR法により解析した。その結果、通常の静地培養法によって合成したセルロースと異なり、二結晶成分の存在比が逆転することを明らかになった。これはセルロース分子鎖が結晶化する過程で培養条件が影響を及ぼしていることを示唆するもので、この特異な現象を次年度明らかにする予定である。次に合成したCNFを有機化学的手法により、シクロデキストリン(CD)表層グラフト化を検討した。CNF水酸基にスペーサーとしてジエポキシ化合物を作用させ、アルカリ条件下で効率良くCNF表層のみを選択的にCDグラフト化可能であることを明らかにした。さらに水系溶媒下でのCNF表層疎水化についても検討を行なった。弱酸性水溶液にCNFを分散させ、低分子シリル化合物を加えると、酸性条件下でCNF表層水酸基のみがシリルエーテル化することを確認した。特にメチルトリメトキシシランを用いた場合にCNF表層の疎水性が増大した。これらCDグラフト化CNF、表層疎水化CNFの官能基導入量について固体NMR、FTIR等で定量し、XRDによる結晶構造解析を実施した。また分子認識能、ゲスト化合物選択性、疎水性、溶媒分散性等の各種物性評価を実施した結果、CNF表層への官能基置換制御が可能となり、同時に材料として最適な反応条件を見出すに至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度には「CDをグラフト化したCNFの合成とその分子認識能評価」「CNFの表層疎水化法の確立」を計画していた。CDグラフト化についてはグラフト化法を見出し、CD導入量の最適化条件を明らかにすることができた。また表層疎水化についてもシリル化合物を用いて、水系で疎水化を達成でき、CNFの特徴である分散性を損なうことなく疎水化CNFを合成するに至っている。よって当初の計画どおりに研究成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度であるH30年度は計画どおり、CNFの自己組織化について検討を実施する。また酢酸菌CNFについては通気攪拌培養を適用すると結晶構造に大きな違いが見られた。この発見はセルロース生合成における結晶成長に関して新たな知見をもたらす可能性を持ち、並行してCNF培養条件と結晶成長について検討を実施していきたい。
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