2017 Fiscal Year Research-status Report
超高感度レドックスセンサアレイによる発電微生物の探索
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16K05807
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
横川 雅俊 筑波大学, 数理物質系, 助教 (50447885)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 微生物 / BioMEMS / バイオセンサ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、単一微生物の挙動を迅速かつ高感度で分析することを目的に、微小流体技術、微小空間における細胞培養技術、微量液滴中の高感度センシング技術を新規に開発する。具体的には、1,000,000個を越えるpLオーダーの微小細胞培養空間を作成し、活性汚泥中に含まれる微生物の活性、及び各種シグナル物質や抗生物質の与える影響を網羅的に評価し、有用微生物の探索システムを構築する。 29年度は、隔絶された微小空間内での細胞培養技術の開発を行った。まず、微生物培養の場としてマイクロゲルカプセルを新規に開発し、その内部において微生物の一括並列培養を行った。ここで作製したマイクロゲルカプセルは、微生物は通り抜ける事が出来ないが、微生物の増殖に必要となるタンパク質や低分子化合物などの栄養素や水に対しては高い透過性を示す薄いゲル膜で覆われた中空構造を持つ。これにより、単一の微生物を隔離し他の微生物等と混ざり合わないようにした状態で、一度に膨大な数(種類)の微生物の個別培養が可能となった。その内部において微生物を培養したマイクロゲルカプセルを分析用デバイスのマイクロチャンバーへと導入した際の充填率は90%以上であり、微生物懸濁液をデバイスに直接導入するのと同等以上の効果が認められた。また、セルソーターのシステムを用いて一括してマイクロゲルカプセルを分析・分取することも可能であり、様々な手法により単離培養された微生物を分析する事が可能であることを確認した。 センシングに用いる金属ナノギャップ型光アンテナ(ONA)については、ナノロッド鎖の鎖長を厳密に制御する固相重合法ではなく、簡便にONA構造を作製することの出来る溶液中での重合法を採用することで、高収率で合成することが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
開発が遅れていた金属ナノギャップ型光ナノアンテナに関しては、固相合成法ではなく液相合成法を採用することで、十分な収量が得られるようになった。また、構造に起因する表面増強ラマン散乱(SERS)のシグナルも安定して確認出来るようになった。しなしながら、溶液中に還元物質を添加した際の挙動(SERSシグナルの消失等)については、想定を下回る結果となった。今後、実験条件の最適化等により問題を克服する必要がある。 一方、先行して進めてきた微生物の単離培養・操作技術の開発は、極めて順調である。特に、微生物懸濁液を直接デバイスに導入するのではなく、マイクロゲルカプセルを用いて予め単離培養を進め、高密度の単一菌由来のコロニーをデバイス内に導入することで、チャンバー内の検出対象物質濃度を劇的に高める事ができ、検出・分析が容易となった。
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Strategy for Future Research Activity |
開発の遅れている光ナノアンテナを利用した超高感度レドックスセンサの開発・評価を継続して進めて行く。平行して、デバイスにマイクロゲルカプセルを介して活性汚泥に含まれる微生物群を導入し、従来法である各種蛍光プローブを用いたアッセイを行い、実験方法の確立を図る。最終的に、両者を組み合わせることで、有用微生物の探索システムを構築する。
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Causes of Carryover |
予定していたセンサの開発に遅れをきたし、それに係る物品の購入を翌年度に遅らせたため。
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Research Products
(3 results)