2019 Fiscal Year Annual Research Report
Generation of Reactive Core-Shell Cluster Ion Beam and Its Application to Organic-Inorganic Composite Materials Analysis
Project/Area Number |
16K05821
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
盛谷 浩右 兵庫県立大学, 工学研究科, 准教授 (20391279)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | クラスター / SIMS / 脱離イオン化 / 質量分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は, Ar, 水およびメタノールのクラスターイオンビームを発生させ,それらのクラスターイオンビームによるSiおよびSi基板上に堆積した有機分子層のスパッタリング速度を比較した.クラスターはオリフィス径0.1 mmの真鍮製コニカルノズルから真空中に材料となる気体を噴出させることにより生成した.常温で液体の水およびメタノールは流量を調整したArとHeをキャリアガスとしてバブリングし気化することでノズルから噴出しクラスター化した。 Ar,水、メタノールの3種のクラスターイオンビームにより試料をスパッタし、そのスパッタ体積を走査型白色干渉計または表面段差計により測定した。スパッタリング実験に用いた有機分子はローダミンB、ローダミン6Gである。 これらのローダミン分子は、分子量は同じであるが,メタノールに対する溶解度が大きく異なっている.この二種類のローダミン分子膜を、加速エネルギーが2.5~8 keVのAr,水、メタノールクラスターイオンビームでスパッタし、単位イオン当たりのスパッタ体積[nm3/ions]を比較した。その結果、加速エネルギーが5 keV以下と低い場合、ローダミン6GでAr,水クラスターよりもメタノールクラスターのスパッタ速度が大きく上がることがわかった。しかし、加速エネルギーが8keVと高くなると、クラスター種間でのスパッタ速度に大きな差異はみられなかった。これはローダミンBおよび6G試料の、メタノール溶解度の違いによるものと考えられる.一方, 8 keVでは6G, Bとも大きな差はない. これらの結果は, 分子クラスターによる有機分子スパッタ過程では, 低エネルギー領域において溶解に類似したプロセスが重要な役割を果たしていることを示唆している.
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