2017 Fiscal Year Research-status Report
ナノ積層構造を有した機能性バイオチップによる高感度バイオセンシング法の開発
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16K05824
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
矢野 和義 東京工科大学, 応用生物学部, 教授 (40262109)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | プロテオミクス / アプタマー / プラズマ重合 / 分析化学 / 薄膜 / 蛍光増強 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度では、アセトニトリルをモノマーとしたプラズマ重合膜を持つナノ積層構造が、Cy5標識DNAからの蛍光を増強できること、またこの表面上にグルタルアルデヒドを介して抗体を固定化し、イムノアッセイを行えることを示した。これらの結果を踏まえ平成29年度では、アミノ基を有するアセトニトリル膜にアミノ基修飾したDNA鎖をグルタルアルデヒドを介して共有結合により固定化し、ターゲットDNAとハイブリダイゼーションさせることにより、DNAセンシングが可能であるか検討した。 まず、アセトニトリル膜を製膜したガラス基板に、2.5%グルタルアルデヒドを反応させ結合させた。そこにプローブDNAを固定化し、さらにCy5標識ターゲットDNAとのハイブリダイゼーションを行った。その結果、グルタルアルデヒドを使用しなかった対照基板より強い蛍光シグナルが確認された。これより、プラズマ重合膜とグルタルアルデヒドの両方がプローブDNAの固定化に必須であることが明らかになった。 一方、このDNAハイブリダイゼーションの実験は滅菌水中で行っていたことから、DNAがもつ負の電荷によって2本のDNA鎖が互いに反発し合い、ハイブリダイゼーションされにくい状況であることが予想された。そこでこの負の電荷の影響抑制のため、滅菌水の代わりにナトリウムイオンを含む反応液を使用したところ、アセトニトリル膜上でのDNAハイブリダイゼーションを確認でき、再現性も得られた。最終的に、ナノ積層基板を用いることでアセトニトリル膜のみの基板と比較して、約3.2倍の蛍光増強が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DNAアプタマーアッセイをナノ積層基板上で行うには、まずDNAのプラズマ重合膜への固定化が不可欠である。平成29年度では、架橋剤グルタルアルデヒドを介することでアミノ基修飾DNAとアセトニトリル膜を共有結合により固定化できることを明らかにした。またハイブリダイゼーション液に塩を加えることで、安定にDNAハイブリダイゼーションが起こり、最終的に蛍光増強現象も確認することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ナノ積層基板を用いたバイオアッセイのための基礎的知見として、アセトニトリル膜の表面分析をフーリエ変換赤外分光光度法(FT-IR)にて行う。これにより、膜上に期待通りにアミノ基が形成されているかを評価する。DNAハイブリダイゼーションの実験結果を踏まえ、最終的にはDNAアプタマーを同様の方法で固定化し、標的タンパク質の高感度検出を試みる。
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Causes of Carryover |
(理由)試薬やプラスチック機器などの消耗品を予定より安く購入できた。
(使用計画)次年度使用額と合わせた次年度助成金で、引き続きDNAや標的タンパク質、プラスチック機器などを購入する。また学会発表のための出張旅費にも充てる。
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