2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of sensitive biosensing methods by functional biochips with nano-scale layered structure
Project/Area Number |
16K05824
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
矢野 和義 東京工科大学, 応用生物学部, 教授 (40262109)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | プロテオミクス / アプタマー / プラズマ重合 / 分析化学 / 薄膜 / 蛍光増強 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、24ヵ所の反応ウェルを持つ撥水印刷加工ガラス基板(撥水ガラス基板)を用いて、ナノ積層基板における蛍光増強度をより定量的に評価することを目的とした。まず撥水ガラス基板を用いたナノ積層基板上にCy5標識ターゲットDNAを滴下し蛍光強度測定を行った結果、未修飾の撥水ガラス基板と比較して蛍光強度は約39倍に増強された。またウェルの面積は一定であり、バックグラウンドも一定であったことから、通常のガラス基板を用いるよりも優れていると判断した。次に、撥水ガラス基板を用いたナノ積層基板上でグルタルアルデヒド(GA)を介したプローブDNAの固定化とCy5標識ターゲットDNAのハイブリダイゼーションを行ったが、強い蛍光増強は観察されなかった。一方で、ハイブリダイゼーションが起こっていることは蛍光偏光法により確認できた。そこで、アセトニトリル膜についての化学的知見を得るとともに、特に固定化に重要なアミノ基を有しているのかを検証するために、フーリエ変換赤外分光光度法(FT-IR)を用いてアセトニトリル膜のIRスペクトルを測定した。その結果、アミノ基に特有の吸収波数において特徴的なスペクトルが見られたので、固定化に重要なアミノ基が存在していることが示唆された。 研究期間全体を通じて、以下のような研究成果が得られた。まず①アセトニトリルをモノマーとしたプラズマ重合膜を持つナノ積層基板で蛍光を増強できた。また②このナノ積層基板にGAを介して抗体やアミノ基標識DNAを固定化し、ターゲット分子の認識に由来する蛍光シグナルの増強を確認した。さらに③その膜の物性をFT-IRにより評価した結果、固定化に重要なアミノ基が存在している可能性を確認した。
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