2018 Fiscal Year Research-status Report
サーマルプログラミングによる蛋白質ナノブロックの逐次的自己組織化基盤技術の開発
Project/Area Number |
16K05841
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
新井 亮一 信州大学, 学術研究院繊維学系, 准教授 (50344023)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 人工蛋白質デザイン / タンパク質ナノブロック / 蛋白質工学 / 蛋白質安定化 / X線結晶構造解析 / ナノバイオテクノロジー / タンパク質複合体 / 自己組織化 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、独自のヌンチャク型二量体を形成する新規人工タンパク質WA20を利用した蛋白質ナノブロックを開発し、6の倍数量体の多面体型複合体や鎖状複合体など、様々な多量体超分子ナノ構造複合体の構築に成功してきた。そこで、本研究では、WA20の耐熱化変異体SUWAを開発し、温度変化によって可逆的に熱変性・再生する蛋白質ナノブロックを開発し、サーマルサイクラーによる温度変化プログラミングにより逐次的に自己組織化させるための基盤的技術を開発することを目的とした。 今年度は、新たな蛋白質ナノブロックとして、SUWA-foldonのC末端に免疫グロブリン結合Zドメインを融合した蛋白質ナノブロックSUWA-foldon-Zを構築し、小角X線散乱測定(SAXS)、サイズ排除クロマトグラフィー-多角度光散乱測定(SEC-MALS)、円偏光二色性(CD)スペクトル測定や、免疫グロブリン結合活性等を調べた。SEC-MALSの結果、SUWA-foldon-Zは6量体、9量体、12量体以上の複合体を形成することがわかった。また、SAXSの結果から、概形構造としては、6量体は細長い樽型の形状を、9量体は三角形の板状の形状をしている可能性が示唆された。さらに、加熱・冷却後も同様に6量体、9量体、12量体以上の複合体を再構成することに成功し、特に6量体の割合が増加するという興味深い結果が得られた。 また、蛋白質ナノブロック複合体のクライオ電子顕微鏡観察も試みたが、明瞭な粒子像が得られなかった。今後さらなる検討が必要と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、新たな蛋白質ナノブロックSUWA-foldon-Zなどを構築し、温度変化による蛋白質ナノブロックの逐次的自己組織化ナノ構造複合体構築の実験を行って、特定の複合体が増加するという興味深い結果も得られたが、その結果を基に構造解析を行い、学会において発表するまでには時間が足りなかった。また、クライオ電子顕微鏡観察の結果、明瞭な粒子像が得られなかったため、今後さらなる条件検討を重ねる一方で結晶化も試みることとした。このため、研究期間を延長して、蛋白質ナノブロック複合体のさらなる立体構造解析や学会での発表を次年度に行うこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
異なる変性温度で可逆的熱変性・再生する蛋白質ナノブロックを開発し、サーマルプログラミングにより逐次的に自己組織化する基盤技術を開発する蛋白質ナノブロックによるナノ構造構築技術の高度化の目的を十分に達成するため、今後、さらに、異なる変性温度で可逆的に熱変性・再構成する自己組織化蛋白質ナノブロックの開発や、サーマルプログラミングによる蛋白質ナノブロックの逐次的自己組織化ナノ構造構築及び構造解析を進めて、研究を推進する予定である。また、ゲルろ過クロマトグラフィー(SEC)により特定のナノ構造成分を精製し、多角度光散乱(SEC-MALS)分析による絶対分子量測定、小角X線溶液散乱法による低分解能構造解析、及びX線結晶構造解析による高分解能立体構造解析に取り組む。さらに、クライオ電子顕微鏡や原子間力顕微鏡によって、蛋白質ナノブロック複合体の立体構造解析や概形観察も試みる。
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Causes of Carryover |
これまで、現有や共有の設備や余剰の消耗品・試薬等を活用して研究を進めて、研究費の効率的な使用に努め、費用対効果の高い成果を上げてきた。また、いくつか想定外の実験結果も得られたため、それらの結果をさらに深く追究して新たな実験などを検討するのにさらなる時間が必要であった。また、クライオ電子顕微鏡観察の結果、明瞭な粒子像が得られなかったため、今後さらなる条件検討を重ねる一方で結晶化も試みることとした。このため、研究期間を延長して、蛋白質ナノブロック複合体のさらなる立体構造解析と学会での発表を次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとした。 今後、新たな試薬や機器等の購入を予定しており、また、これまでの研究成果を取りまとめて、積極的に学会発表や論文発表をする予定であり、学会参加費・旅費や、論文掲載料等にも充てる予定である。
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Research Products
(22 results)
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[Presentation] Self-assembling supramolecular nanostructures constructed from de novo extender protein nanobuilding blocks2018
Author(s)
Naoya Kobayashi, Kouichi Inano, Kenji Sasahara, Takaaki Sato, Keisuke Miyazawa, Takeshi Fukuma, Michael H. Hecht, Chihong Song, Kazuyoshi Murata, Ryoichi Arai
Organizer
The 79th Okazaki Conference Synthetic, Biological, and Hybrid Molecular Engines
Int'l Joint Research
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