2016 Fiscal Year Research-status Report
コンドロイチン硫酸を分子基盤とする機能解析と創薬応用
Project/Area Number |
16K05848
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
若尾 雅広 鹿児島大学, 理工学域工学系, 助教 (20404535)
|
Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2019-03-31
|
Keywords | コンドロイチン硫酸 / デルマタン硫酸 / グリコサミノグリカン / 合成 / 活性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、生体内で最も複雑な構造と機能を持つグリコサミノグリカン(GAG)の分子レベルでの機能解析を目指し、独自開発のGAGライブラリーを用いて、糖鎖チップによるGAG結合性タンパク質の構造活性相関解析を行い、解析結果を創薬研究に応用することを目的とする。H28年度は、主としてコンドロイチン硫酸(CS)、デルマタン硫酸(DS)、ならびにそれらのハイブリット糖鎖の部分構造の合成について取り組んだ。 CS部分構造の合成においては、これまでに開発している合成法にしたがって検討を行い、これまでに合成されていない硫酸化パターンを持つCS四糖部分構造の合成を行った。具体的には、糖鎖チップを用いた解析で、FGF-2に対して高親和性が見られたCS-E、CS-T二糖部分構造に着目し、それらを含む四糖構造の合成を行った。またDS部分構造の合成においては、これまでに見出している三糖共通中間体から、IdoA3S構造を有する二糖部分構造の合成について検討し、2種類のDS二糖部分構造を合成した。一方、DS-CSハイブリット四糖構造の合成では、合成法の確立に向け、これまでに設計しているDS、CS二糖共通中間体からの四糖構造への誘導を検討した。合成するハイブリット四糖部分構造としては、GAG結合性タンパク質との親和性が高いと推定される高硫酸化構造である、DS-EとCS-E二糖構造を有する四糖構造とした。その結果、これまでに設計している二糖中間体から効率良く目的の四糖構造を合成することができた。合成した糖鎖構造については、糖鎖チップ化を行い、表面プラズモン共鳴(SPR)センサーを用いてGAG結合性タンパク質との相互作用解析を行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
H28年10月からの執行であったため合成研究に注力した。GAG結合性タンパク質との結合解析については、合成した糖鎖構造も含めて、アレイ型チップを作製し、SPRバイオセンサーの準備が整い次第検討する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
GAG糖鎖(特にコンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸)の部分構造の合成研究においては、順調に進んでいる。タンパク質との直接的な会合実験や生物活性評価には、量的不足が懸念されることから、特定の部分構造糖鎖については、数十ミリグラムスケールでの目的物の合成を行う予定である。分子モデリングによる解析については、使用を予定している学内のモデリングソフトのサービスが縮小され、使用時間の確保が難しくなるため、他のソフトウェアでの分子モデリングについても検討する予定である。生理活性評価については、量的に確保できた目的糖鎖構造から順次評価していく予定である。
|
Research Products
(1 results)