2016 Fiscal Year Annual Research Report
好熱性酵素の活性部位を不斉反応場とした熱駆動型反応の実現
Project/Area Number |
16K05851
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
宮本 憲二 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (60360111)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 生体触媒 / 熱駆動型反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では酵素の活性部位を合理的にデザインすることで不斉な反応場を作り出し、本来その酵素が触媒することができない新奇反応を実現することを目的とした。テーマ1の「加水分解活性の消失した好熱性エステラーゼを用いた熱駆動型脱炭酸反応の最適化」では、先行研究に於いて活性中心のSer をCys に置換した不活性型エステラーゼを作成して熱駆動型反応を行い、マロン酸モノエステルから光学活性なエステルを得ていた。本課題において、先行研究で作成された変異型遺伝子の配列を確認したところ、予期せぬ配列の挿入を確認した。そこで、正しい配列のプラスミドを作り直して、熱駆動型ドミノ型反応を行ったが、生成物はラセミ体であった。分析方法も見直し、光学純度が正しく測定できる分析系を確立した。先行研究では微量に含まれる不純物を見ていた可能性が考えられた。この反応において光学活性体が得られなければ、テーマ2の「好熱性エステラーゼお用いたドミノ型の汎用性の拡大」においても当初の目的通りに行うことは困難と考えた。また、正しく作り直した変異型酵素を用いて「テーマ3」に記載されているマロン酸の不斉脱炭酸反応を試したが、生成物はラセミ体であった。これも先行研究では、低いながら光学活性体が得られていた。この様に先行研究を再現することができなかった。テーマ4の「古細菌の無細胞抽出液を用いたベックマン転位酵素の探索」では、ベックマン転位を触媒する酵素を天然界から広く探索を行った。この探索は数年前から実施しているが、目的とする反応を行うような酵素を見いだすことはできなかった。 以上の様に、本申請課題を継続することが困難と判断した。
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