2018 Fiscal Year Research-status Report
味蕾細胞モデルを模したVOCセンサーシステムの開発
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16K05869
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中村 修 筑波大学, 環境安全管理室, 教授 (00400466)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立野 勝巳 九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 准教授 (00346868)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 確率共鳴 / ノイズ同期 / 神経細胞モデル / 労働衛生 / 作業環境測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
プロジェクト2-1「数理神経モデルの簡約化」において、H29年度に引き続き現行モデルの詳細についてさらに検討を行い、The 6th Symposium on Applied Engineering and Sciences(査読有り国際会議)で発表した。これまでの一連の成果をまとめ、Cognitive neurodynamics誌(査読有り)に投稿し、受理された。この報告では特定の条件のイジケビッチのコンダクタンスモデル2つが確率共鳴とノイズ同期を同時に発生させる事を報告した。このニューロンモデル(以降、「考案したニューロンモデル」と称する)を使うことで、ユニークなニューロンネットワークが作成可能となると考えている。 プロジェクト1-2「受容部の電子回路作成およびVOC測定における波形挙動の確認」およびプロジェクト2-2「出力部となるセンサーシステム用アナログニューロン回路作成」は平成29年度に不調に終わった。平成30年度に進捗はない。 「研究が計画通りに進まないときの時の対応」 アナログニューロン回路を用いたセンサーシステム回路を作製するためには、ニューロンモデルの簡素化が必要であるが、これまで成功しておらず、目標の達成が困難なので、イジケビッチモデルのプログラムをGPU搭載の組み込み開発キット(NVIDIA Jetson)に埋め込み、リアルタイム動作させる方向に方針を変更した。考案したニューロンモデルから成るニューロンネットワークを構築した。このネットワークはプロジェクト2-1で確認した確率共鳴やノイズ同期の特性を生かし、複数のガスセンサー出力から、特定のガス種の有無を学習により獲得するネットワークである。現在このネットワークのシミュレーションを行い、目標とする複数VOC同時計測が可能になる様に調整している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
以下の理由により、やや遅れていると判断した。 H30年度に「プロジェクト1-1現地調査」についての学会発表、「プロジェクト2-1の数理神経モデルの簡訳化」についての国際会議発表の実際および論文が受理されるなど、成果を社会に還元する面では進んだ。しかしながら、予定していたセンサーシステムの開発は現在シミュレーションを行っている段階であり、実装できる段階に達していない。具体的には、アナログニューロン回路を作製するためには、ニューロンモデルの簡素化が必要であるが、コンダクタンスモデルで生じる同期現象を再現する簡素化モデルを作成できず、アナログ回路化が進まなかった。計画が当初計画どおりに進まない時の対応に方針転換をしたことより、「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
H30年度から進めているニューロンネットワークのシミュレーションを進め、想定した性能を得ることを目指す。その後アナログニューロン回路に替えて受容部回路としてArduinoを用い、出力部回路としてNVIDIA Jetson(GPU搭載の組み込み開発キット)をそれぞれ使用する。これらの製品にニューロンネットワークを組み込み、入力部、出力部でそれぞれ挙動を確認した後、これらを統合してセンサーシステムを試作する。 試作したセンサーシステムに対して実際の有機溶剤蒸気をばく露させ、シミュレーションで想定した機能を実装できているかどうかを確認する。その後は検出感度、再現性などのセンサーとしての確かさの向上や適用する有機溶剤蒸気を増やすなど、実用化に向けた開発を継続する。
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Causes of Carryover |
当該年度に論文投稿や国際会議等への参加を予定していた。しかしながら研究代表者の異動により思うように研究が進捗せず、国際学会への参加を断念した。また、論文は受理されたものの、印刷中なので投稿料は本報告書執筆時点で発生していない。このような状況により繰越金が発生した。 繰越金は平成31年度に印刷中の論文の投稿料、国際学会への参加および共同研究のための旅費に使用する計画である。
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