2017 Fiscal Year Research-status Report
二酸化炭素を用いた有機分子変換の環境調和型高効率フロー反応化
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16K05876
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
大迫 隆男 分子科学研究所, 生命・錯体分子科学研究領域, 助教 (90500984)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 両親媒性ポリマー / 遷移金属触媒 / 二酸化炭素 / フロー反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々が直面する二酸化炭素の排出問題の観点から、二酸化炭素を有益な炭素資源として利用し、有益なカルボン酸化合物へと変換できる遷移金属触媒工程の開発が現在、国内外を問わず、盛んに展開されている。しかしながら、これまで開発されている二酸化炭素を用いる反応に関して、高効率性のみならず、環境調和性を十分に満たした工程は未だ実現までには至っていない。そこで本研究課題では、二酸化炭素を活性化し、炭素源として用いることができる有機分子変換反応を効率的に促進できる両親媒性ポリマー担持遷移金属触媒の開発を行い、その触媒をカートリッジ化、装備させたフローリアクタも用いることで、二酸化炭素を活性化し、有益な有機化合物へと変換できるフロー工程の開発を行う。従来目標である高効率分子変換の達成のみならず、社会的要請の高まる環境調和・持続性を十分に満たした高い次世代型反応工程の確立を目指し、研究を展開している。 これまでの主な結果として、一連の両親媒性ポリスチレン-ポリエチレングリコールレジン担持遷移金属触媒(銅、銀、パラジウム、ロジウム)の調製を行い、各種キャラクタリゼーションを実施した。次に得られた両親媒性ポリスチレン-ポリエチレングリコールレジン担持遷移金属触媒による二酸化炭素を用いた一連の有機分子変換反応や他の基質を用いて有機分子変換反応の触媒活性評価を実施した。特に、特筆すべき成果については、新規二酸化炭素を用いたアルキンの水和反応を新たに見出すことに成功し、現在、基質一般性の検討やフロー反応への適用に向けて精力的に研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度において、一連の両親媒性ポリスチレン-ポリエチレングリコールレジン担持遷移金属触媒(銅、銀、パラジウム、ロジウム)の開発を行った。また、詳細な反応スクリーニングの結果、本研究課題の目標とする二酸化炭素を用いた効率的なアルキンの水和反応を見出すことができた。また、得られた触媒を用いて、種々の有機分子変換反応を実施した。その結果、特に両親媒性担持銅触媒は、クリック反応やアルコールの酸化反応を効率的に促進することがわかった。以上の状況から、おおむね順調に研究が進展していると判断した。今後は、他の両親媒性ポリスチレン-ポリエチレングリコールレジン担持遷移金属触媒の開発を進めるとともに、本反応のフロー反応への展開について注力を行い、目的とするフロー工程の実現を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
継続的に新規両親媒性ポリマー担持遷移金属触媒を開発し、カルボキシル化反応を実施し、詳細な反応スクリーニングを実施する。また、二酸化炭素を用いた効率的なアルキンの水和反応を見出すことができたので、その反応の基質適応性やフロー反応への展開を行い、フロー反応システムの確立を目指す。また、得られた担持触媒を用いて、他の有機分子変換反応についても検討を加える。
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Research Products
(13 results)