2016 Fiscal Year Research-status Report
ペロブスカイト多孔質球状粒子による新微構造検知極を有する高性能NOxセンサの開発
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16K05878
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Research Institution | Japan Fine Ceramics Center |
Principal Investigator |
高橋 誠治 一般財団法人ファインセラミックスセンター, その他部局等, 主席研究員 (90236290)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | センサ / NOx / 多孔質 / 電極触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
LSM多孔質球状粒子は、クエン酸を造孔剤して炭化法と噴霧熱分解法を組み合わせた手法で調製した。具体的には、所定比のLa、Sr、Mnの硝酸塩をクエン酸水溶液に溶解し、400 oCでの噴霧熱分解によってLSM前駆体粉末を調製した。その前駆体粉末を750-1000℃、1-3時間窒素雰囲気中で炭化処理し、最後に1000℃大気中で焼成することでペロブスカイト構造のLSM多孔質球状粒子を調製した。得られた粉末はX線回折実験の結果、どの粒子も炭化処理温度に寄らず単相のペロブスカイト構造であることを確認した。得られた粒子の大きさ約1-3μmの球状であった。炭化処理温度が900℃以上の試料では、粒子内部に大きさ100 nm程度の空隙が見られた。 センサ素子は、ガス検知極としてLSM粒子スラリーと対極としてPtペーストをそれぞれYSZに取り付けて、電気炉で焼結することで作製した。作製した素子は電気管状炉に一室式で取り付けて種々に希釈したガス(100 cc/min)雰囲気下でポテンシオスタットを用いて電流電圧特性を測定し、定電圧印可時に発生する電流値を読み取ることでセンサ素子として評価した。多孔質球状粒子を用いた電極は、中実球状粒子を用いた電極に比べて応答電流値は小さく、優先応答性は大きくなる結果が得られた。次にNOガスとベースガスを切り替えてから応答電流値が90 %回復するまでの時間(応答速度)を評価した。その結果、多孔質球状粒子と中実球状粒子を用いた電極における応答速度はそれぞれ、air→NO時で10と16秒でNO→air時で30と39秒と多孔質球状粒子の電極で応答速度が向上した。これは、多孔質電極におけるガス貫通性能が良いことに起因していると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
LSM多孔質球状粒子および中実球状粒子とも合成に成功しており、これらのNOxセンサ素子の合成も可能となった。また、基礎的なNOに対する電圧電流特性も得られており、本研究はおおむね順調に進展しているものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、各電極の組織の安定性を確保し、応答特性の原理的解釈を行う。これにより、組織の最適化を行い、実用化レベルの応答特性を示すNOxセンサ素子の開発を目指す。
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