2017 Fiscal Year Research-status Report
ペロブスカイト太陽電池を構成するヘテロ接合薄膜の構造と電子物性の解明
Project/Area Number |
16K05887
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
緒方 啓典 法政大学, 生命科学部, 教授 (10260027)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲見 栄一 千葉大学, 大学院工学研究院, 特任講師 (40420418)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ハロゲン化鉛ペロブスカイト化合物 / 顕微ラマン散乱分光法 / キャリア輸送特性 / 電子輸送層 / 混晶化 |
Outline of Annual Research Achievements |
有機無機複合物質であるハロゲン化鉛系ペロブスカイト結晶を活性層として用いた太陽電池は20%を越えるエネルギー変換効率を持つことが報告され、さらなる高効率化、耐久性向上に向けた材料開発やデバイス構造の開発に関する研究が行われている。我々は、同太陽電池の電子輸送層(足場層)として従来用いられてきたTiO2に代わる電子輸送材料として、複数の金属酸化物を取り上げ、同膜上へのペロブスカイト結晶の成膜を行った結果、Nb2O5を使用した場合、TiO2を用いた場合に比べてより高い結晶性を有するペロブスカイト結晶を作製することが出来ること、さらに優れた電子輸送特性および高い変換効率を示すことを明らかにした。また、ハロゲン化鉛系ペロブスカイト太陽電池におけるTiO2層に代わる電子輸送層としてSnO2を取り上げ、MAPbI3薄膜とのヘテロ接合膜中のキャリア輸送特性について調べた。さらに、SnO2にNbおよびSbをドープした電子輸送層を作製し、ドープ量の変化に伴うヘテロ接合膜のキャリア輸送特性の変化を明らかにした。さらに、ハロゲン化鉛系ペロブスカイト太陽電池における緻密TiO2層の作成方法がキャリア輸送特性に与える影響を明らかにした。また、ハロゲン化鉛系ペロブスカイト半導体薄膜中に存在する固有の欠陥構造と分子運動性の関係、およびそれらが相挙動および太陽電池特性に与える影響を明らかにすることを目的として、ラマン散乱分光法、固体NMR分光法等を用いて、単結晶試料、粉末試料との比較を行った。薄膜試料ではハロゲンの欠損およびイオン拡散の存在によって有機カチオンの分子運動性および相挙動が単結晶試料とは大きく異なり、電気伝導特性に大きな影響を与えていることを定量的に明らかにした。さらに、有機カチオンおよびハロゲンの混晶化を行ったハロゲン化鉛化合物薄膜の各種条件下での構造安定性の定量的な評価を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2017年度に計画していた研究は単結晶金属酸化物へ成長させたペロブスカイト薄膜を用いた研究が既存の試料作製装置、電子物性評価装置の動作不良により、やや遅れた点を除けばほぼ順調に進展していると考えられる。2018年度は、これらの研究を集中的に推進させるとともに、2017年度からの研究を継続して発展的に行い、得られた研究成果の学術論文への発表を行うべく準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は、2017年度までの研究成果をさらに発展させるとともに、これまでに得られた知見を元にさらに速やかに研究を推進させ、研究の総括を行う予定である。具体的には、単結晶TiO2基板および各種ナノカーボン材料上に作製したハロゲン化鉛ペロブスカイト薄膜の界面構造と電荷輸送特性を明らかにし、解明されたハロゲン化鉛系ペロブスカイト薄膜の特性を元に高効率、高耐久性太陽電池のための設計指針を明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
2017年度に実施を予定していた研究の一部が、装置の動作不良により実施することが困難であったこと、また、本研究で主として使用していた既存の装置の故障により、新たに代替品を購入する必要が生じたために総計で当初計画との差異が生じた。2018年度には、2017年度に計画していた研究を従来計画していた研究と並行して行うため、同予算を使用する計画である。
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Research Products
(17 results)