2016 Fiscal Year Research-status Report
有機無機ハイブリッド太陽電池における酸化物半導体の役割解明と軽量太陽電池への展開
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16K05888
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Research Institution | Toin University of Yokohama |
Principal Investigator |
池上 和志 桐蔭横浜大学, 医用工学部, 准教授(移行) (30375414)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ペロブスカイト太陽電池 / 酸化チタン / 低温製膜法 / ブルッカイト |
Outline of Annual Research Achievements |
高効率ペロブスカイト太陽電池を作製するための、メソポーラス酸化チタン層に注目して研究を進めた。ペロブスカイト太陽電池には、メソポーラス型、プラナー型などいくつかの層構成が知られている。高効率の太陽電池設計には、界面設計が重要となるが、本研究では、透明導電基板とペロブスカイト層の間に、緻密なn型半導体となるメソポーラス層酸化チタンの導入を試みた。多くの研究では、酸化チタンにはアナターゼ型結晶が用いられることが多いが、本研究では、ブルッカイト型酸化チタンを用いた。ブルッカイト型酸化チタンの特徴として、150℃以下の低温製膜でも、高効率なメソポーラス膜を製膜できることである。 導電性ガラス基板上での低温製膜に成功したことから、導電性プラスチックフィルムを用いることで、さらに研究を進めた。導電性プラスチックとしてITO基板を用いた場合、ブルッカイト型酸化チタンとITOの間には、酸化物半導体からなる緻密層の低温製膜も必要である。酸化スズ系の緻密層、また、酸化チタン系の緻密層を低温製膜することで、プラスチック基板を用いたペロブスカイト太陽電池も15%の効率を得ることができた。ただし、緻密層の作製は、基板の大面積化を目指した場合に制約も多い。そこで、ITOプラスチック基板に、ロール・ツー・ロールプロセスによりTiO2層を厚み8nmで均一にスパッタ製膜する技術を構築した。この技術は、プラスチック基板へのITOとTiO2の同時製膜にも対応しており、将来の大面積化に結び付く技術としても活用できる。この基板を用いることで、ブルッカイト型酸化チタンのメソポーラス層を塗布すしてペロブスカイト太陽電池を作製し、変換効率15%を達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的であるホール輸送層を用いないペロブスカイト太陽電池の構築のためには、n型半導体層の製膜温度の自由度を上げることが必要である。その点、従来法では、500℃の温度処理が必須であった過程を、150℃以下の温度でも可能にできたことは、今年度の研究計画を予定通りに進めることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
ブルッカイト酸化チタンによるペロブスカイト太陽電池用のメソポーラス層の低温製膜法を確率できた。今年度は、メソポーラス層の多層化に取り組む。製膜時に異なる温度で製膜すること、また、異なる比表面積を持つ酸化チタンを多層化することで、変換効率に与える影響について研究を進める。
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Causes of Carryover |
残額では、試薬等の購入には不足であったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度の消耗品費として使用する。
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Research Products
(17 results)