2016 Fiscal Year Research-status Report
超撥水・超親油、超親水・超撥油性含フッ素コンポジットの開発と水/油分離剤への展開
Project/Area Number |
16K05891
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
澤田 英夫 弘前大学, 理工学研究科, 教授 (50259909)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 含フッ素オリゴマー / ナノコンポジット / 水/油分離 / 超親水/超撥油性 / 超撥水/超親油性 |
Outline of Annual Research Achievements |
高分子化合物として架橋ポリスチレン微粒子、ポリオキシエチレン誘導体、さらには有機化セルロース誘導体に注目し、これら一連のゲスト分子存在下におけるフルオロアルキル基含有ビニルトリメトキシシランオリゴマーのアルカリ性条件下におけるゾル―ゲル反応により、対応するこれらゲスト分子がカプセル化された含フッ素オリゴマー/シリカコンポジット類の調製およびこれら一連のナノコンポジット類のキャラクタリゼーションおよび界面特性の解明を行った。その結果、無機微粒子としてタルクを用い、有機高分子として架橋ポリスチレン微粒子を用いて調製された超親油・超撥水性を示す含フッ素オリゴマーコンポジットと同様、新たに有機高分子ゲスト分子としてポリオキシエチレン誘導体、ポリ(テトラフルオロエチレン)微粒子さらには有機化セルロース誘導体を用いることにより、超親油/超撥水性を示すコンポジット類の開発に成功した。特に、有機化セルロース誘導体を含むコンポジット類により濾紙の表面改質をも可能とさせ、この改質濾紙膜を水/油分離膜へ展開させることにも成功した。この改質膜はオリジナルな濾紙とその外観は全く変わらず、改質膜の密着性も高いことを明らかにさせた。有機高分子ゲスト分子としてポリウレタン誘導体を用いることにより、超親油/超撥水性ではなく、超撥油/超親水性を示す含フッ素コンポジット類の開発に成功した。さらに、シクロデキストリンポリマー(CDP)をゲスト分子として調製された含フッ素コンポジット類は、オリジナルなCDPに比べ低分子有機化合物をより効率よく吸着させることを明確にさせた。これらの研究成果は、当初の研究計画に沿って進められた成果ではあるが、特に、ゲスト分子の構造の違いにより、これら界面特性を制御させることを可能とさせた結果、さらには低分子有機化合物の極めて高い捕捉能に関する成果は極めて興味深い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では、含フッ素コンポジット類の構造と超親油/超撥水性および超撥油/超親水性に関する濡れ性の制御に関しては提案されなかったが、本研究を遂行させることによりコンポジット中の種々の高分子ゲスト分子の構造の違いにより、これら特性を容易に制御させることを可能とさせた。さらに、ゲスト分子として有機化セルロース誘導体を用いることによる密着性に優れた超親油/超撥油性含フッ素コンポジット類の開発は当初の予想では考えられなかった極めてユニークな研究成果である。シクロデキストリンポリマーをゲスト分子とした含フッ素コンポジット類における極めて高い低分子有機化合物の捕捉能に関する研究成果も意外であり、今後の応用展開が大いに期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
超撥水・超親油性さらには超親水・超撥油性を示す含フッ素コンポジット類を用いた水/油混合液の分離に関する検討を以下の(1)~(4)の項目に従って詳細に検討を行う。
(1)超撥水・超親油性および超親水・超撥油性を示す含フッ素コンポジット類による改質濾紙膜を分離膜とした種々の油/水混合液および油/水エマルションの分離に関する検討;(2) 超撥水・超親油性および超親水・超撥油性を示す含フッ素コンポジット類を充填剤としたカラムクロマトグラフィーによる油/水混合液および油/水エマルションの分離に関する検討;(3)一連の含フッ素コンポジットにより改質させた分離膜さらにはこれらコンポジットを充填剤としたカラムクロマトグラフィーによる親水性有機化合物水溶液中の水と有機物の分離能と超撥水・超親油性および超親水・超撥油性との関係に関する検討;(4)含フッ素シクロデキストリンポリマーコンポジットによる低分子有機化合物の捕捉能とこれら有機化合物の構造との関係に関する検討。
これらの検討項目は、平成28年度における研究成果に基づいて行われる研究計画であり、研究のスムースな進捗がそれぞれ期待できる。
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[Book] Creation of Superamphiphobic, Superhydrophobic/Superoleophilic and Superhydrophilic/Superoleophobic Surfaces by Using Fluoroalkyl End-Capped vinyltrimethoxysilane Oligomer as a Key Intermediate”, Fluorinated Polymers2016
Author(s)
H. Sawada (分担執筆)B. Ameduri and H. Sawada (Eds.) (他著者:R. Dams, K. Hintzer, I. Yamamoto, H. R. Allcock, M. Ohkura, Y. Morzawa, T. Hoshino, J. T. Goldbach, R. Amin-Sanayei, G. O’Brien, W. Navarrini, T. Hirai, D. A. Hercules, J. S. Thrascher, B. Amedurei, A. Fujimori, H. Sawada et al.)
Total Pages
372(担当ページ: 353 ~ 365)
Publisher
イギリス化学会
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[Book] Fluorinated Polymers: Volume 1, “Synthesis, Properties, Processing and Simulation”2016
Author(s)
B. Ameduri and H. Sawada (Eds.) (S. Yamazaki, H. Sawada, M. Yoshida, T. Narita, S. Banerjee, A. Ghosh, S. Inagi, B. Hosemann, R. Siegmann, S. Beuermann, D. Pospiech, D. Jehnichen, P. Chunsod, P. Friedel, F. Simon, K. Grundke, C. Feng, X. Huang, H. Kaspar, B. Ameduri et al.)
Total Pages
392
Publisher
イギリス化学会
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[Book] Fluorinated Polymers: Volume 2, “Applications”2016
Author(s)
B. Ameduri and H. Sawada (Eds.) (R. Dams, K. Hintzer, I. Yamamoto, H. R. Allcock, M. Ohkura, Y. Morzawa, T. Hoshino, J. T. Goldbach, R. Amin-Sanayei, W. He, J. Henry, W. Kosar, A. Lefebre, G. O’Brien, W. Navarrini, T. Hirai, D. A. Hercules, J. S. Thrascher, B. Amedurei, A. Fujimori, H. Sawada et al. )
Total Pages
372
Publisher
イギリス化学会
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