2018 Fiscal Year Research-status Report
優れた半導体特性を有する新規テトラベンゾポルフィリン類の開発
Project/Area Number |
16K05892
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
伊藤 智志 宇都宮大学, 工学部, 助教 (60361359)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2020-03-31
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Keywords | ポルフィリン / ピロール / 有機半導体 / 色素 / π共役拡張分子 / 芳香族化合物 / 有機薄膜太陽電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
置換基を持つ新規テトラベンゾポルフィリン(BP)を合成し、薄膜表面の形状や半導体特性を調べた。また、BP類の原料となるビシクロピロールを用いることで、蛍光材料として有望なイソインドール類や、蛍光色素として応用可能なBODIPY類の新規合成も併せて行った。代表的な研究成果は以下の通りである。1)、2)については各種基礎物性を計測中である。 1)縮環したベンゼン環に、4あるいは8個の置換基を持つBPの合成に成功した。導入した置換基は、アルキル、フェニル、ブロモ、エチニルなどである。このうち、n-ブチル基を8個持つBPはクロロホルムに可溶であった。BPの可溶化は、メソ位に置換基を導入する方法が一般的だが、その立体障害によりポルフィリン環が歪むため、その半導体特性の大幅な低下が避けられなかった。今回得られたBP類のいくつかは、有機溶媒に対する可溶性と平面性を併せ持つことから、優れた半導体特性を示すことが期待される。2)5,15位にトリメチルシリルアセチニル基を持つBP類は、ディップコートにより優れた半導体膜が得られることが報告されている。一方、BP類の半導体特性は二置換よりも一置換の方が良好なことが、研究代表者により見出されている。そこでより合成が困難な、5位に一つだけトリメチルシリルアセチニル基を持つBPの合成を行った。 3)BODIPY骨格にπ共役部位を導入することで、その最大吸収波長をredシフトさせることが可能である。今回、ビシクロピロールを出発原料とし、各種カップリング反応や縮合反応を組み合わせることで、近赤外領域に吸収を持つ新規π共役BODIPY類の合成に成功した。一般にπ共役が拡張した有機化合物は、溶媒に対する溶解性が著しく低下するが、今回得られたBODIPY類の溶解性は良好であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究そのものは極めて順調に進行しているが、家庭の諸事情により論文執筆が遅れている。また、追加実験で想定外の研究結果が複数得られたことから、その解明のために研究期間の延長を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
新規化合物の合成と物性評価の進捗には全く問題ないので、研究成果を国際論文誌上に一刻も早く発表できるよう、研究協力者と連携を密にして論文執筆を進めたいと考えている。
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Causes of Carryover |
母の死去(平成30年1月)に伴う諸手続きにより研究の進捗に遅れが生じたため、研究期間を一年延長した。論文発表に伴う英文校正や追加実験により、研究期間終了までに助成金のすべてを使用する計画である。
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Research Products
(9 results)