2016 Fiscal Year Research-status Report
近赤外領域に吸収および蛍光を示す新規な分子骨格を有する色素の開発
Project/Area Number |
16K05894
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
窪田 裕大 岐阜大学, 工学部, 助教 (50456539)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 近赤外 / 色素 / 吸収 / 蛍光 |
Outline of Annual Research Achievements |
近赤外領域に吸収および蛍光を示す色素は、有機太陽電池、分子イメージングなどへの応用が可能であるが、このような特性を示す色素の分子骨格は限られている。 本研究では近赤外領域に吸収および蛍光を示す新規な分子骨格を有する色素の開発を目指す。 近赤外領域(700 nm以上)に吸収および蛍光を示す新規色素としてビスピロールスクアリリウム色素の開発を行った。ブチル基およびブトキシ基を有するビスピロールスクアリリウム色素の最大吸収波長はそれぞれ633 nmおよび646 nmであった。また最大蛍光波長はブチル誘導体が648 nm、ブトキシ誘導体が666 nmであった。 一方、ジエチルアミノ基を有するビスピロールスクアリリウム色素の最大吸収波長は722 nm、最大蛍光波長は768 nmと大きく長波長化し、近赤外領域での吸収および蛍光を達成した。このことは、ビスピロールスクアリリウム色素において電子供与基の導入が最大吸収波長および最大蛍光波長の長波長化に大きく寄与することを示唆している。理論計算においてもジエチルアミノ基の導入により、HOMO-LUMO遷移が分子内電荷移動型の寄与が大きくなり、最大吸収波長の長波長化を支持している。 更に、ビスピロールスクアリリウム色素にチオフェン環を縮環させ、π共役系を伸張することにより、最大吸収波長は781 nm、最大蛍光波長は833 nmと更に長波長化することを見出した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度中の目標であった最大吸収波長が700 nm以上で最大蛍光波長が800 nm以上の新規色素の開発に成功した.
|
Strategy for Future Research Activity |
新規色素の構造改変および置換基導入により最大吸収波長および最大蛍光波長の更なる長波長化を目指す。
|
Causes of Carryover |
繰越が可能であるので、試薬が買えず実験が中断しないよう、初年度にあらかじめ多く割り振っていた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は試薬の購入にあてる予定。
|