2017 Fiscal Year Research-status Report
レーザー光誘起によるハイブリッド薄膜の局所的機能制御
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16K05903
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
松川 公洋 京都工芸繊維大学, 未登録, 研究員 (90416321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中 建介 京都工芸繊維大学, 分子化学系, 教授 (70227718)
渡瀬 星児 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 電子材料研究部, 研究主任 (60416336)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 有機無機ハイブリッド / 金ナノ粒子 / レーザー描画 / シルセスキオキサン |
Outline of Annual Research Achievements |
ポリシルセスキオキサン(PSQ)は、ケイ素原子上の有機官能基とシロキサン骨格を併せ持つ有機無機ハイブリッド材料であり、官能基によりさまざまな特性を付与できる。金PSQ中に多彩な官能基を導入できることを活用すれば、その膜中に金属ナノ粒子の形成・固定化ができると考えられる。そこで、我々は金ナノ粒子特有の特性を持つ機能材料の開発を目的として、金(Ⅲ)イオンから金ナノ粒子を形成するのに必要な還元基と安定に金ナノ粒子を存在できる保護基を含んだ3元系PSQを合成し、ハイブリッド薄膜形成と同時に金ナノ粒子を膜中で形成する方法について研究している。ガラス基板上に作製した金ナノ粒子分散PSQ薄膜に、ブルーバイオレッドレーザー(405 nm)を直接描画したところ、ミクロンサイズのドットパターンを形成することができた。レーザー描画で作製したドットの光反射率が約1.5倍と高く、金ナノ粒子から金属金への変換が起こったと推察される。すなわち、PSQ中に固定化された金ナノ粒子がレーザー光を吸収し、高速高効率で熱エネルギーに変換することで、金ナノ粒子の溶融・融合が生じたものと考えられ、金ドットパターンは各種デバイスへの展開が期待される。また、描画装置の設定により、L&Sパターンの形成も可能であった。このパターンの凹凸像を光干渉顕微鏡で測定したところ、100nm以上の深さが観察され、レーザー光によるPSQのアブレーションが起こっていることが示唆された。 チタニアナノ粒子含有ハイブリッド薄膜へのレーザー描画についても検討した。リン酸アクリレートで表面修飾したチタニアハイブリッド薄膜を作製し、レーザー描画により、パターン形成が可能であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
還元基と安定に金ナノ粒子を存在できる保護基を含んだ3元系PSQの最適構造の見直しを行なっているので、描画実験が遅れている。保護基の化学構造の最適化及び各組成の最適比を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
3元系PSQの最適構造について探索する。配位能力に優れたアクリルアミドを含んだトリアルコキシシランの合成を検討し、金ナノ粒子の生成との関連について検討する。レーザー描画により生じた表面の物性変化を、3次元形状測定や光学測定から評価する。また、金ナノ粒子含有シルセスキオキサン薄膜上での細胞培養についても検討する。レーザー描画した部分と未照射部分とで、細胞吸着や細胞培養に差異があるのかを調べる。
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Causes of Carryover |
物品費(消耗品)の使用において、残額が生じた。次年度に、同目的で使用する。
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Research Products
(25 results)