2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K05916
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
井澤 浩則 鳥取大学, 工学研究科, 助教 (50643235)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | リンクル / キトサン / 西洋ワサビ由来ペルオキシダーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
1.スキン層形成メカニズムの解明 本手法におけるリンクルフィルムは、①浸漬、②スキン層形成、③乾燥という極めて単純な三工程のみで調製することができる。キトサンフィルムをp-クマル酸(CO)、フェルラ酸(FE)、カフェ酸(CA)のようなフェノール酸のメタノール溶液に30-60℃で浸漬後(①浸漬)、フィルムを取り出し、水中でHRPと過酸化水素で反応することによりスキン層を形成する(②スキン層形成)。そのフィルムを自然乾燥すると(③乾燥)、リンクルフィルムが得られる。本年度は、FEとパラ位の置換基が異なるバニリン酸(VA)とホモバニリン酸(HO)を用いてリンクル形成を検討することで、スキン層の形成メカニズムついて研究を行った。その結果、スキン層形成メカニズムを以下のように結論付けることに成功した。『①浸漬』で、キトサンフィルム内に物理吸着やイオン結合によってフェノール酸がキトサンフィルムに取り込まれ、それと同時に表面ではフェノール酸がアミド結合を介してキトサンフィルム表面に固定化される。それらが酵素反応の反応点となることで架橋構造が形成する。架橋構造は、HRPの触媒作用によって生成するフェノール酸のオリゴマー残基とキトサンとのイオン架橋構造であった。また、SEM観察とTOF-SIMS分析から、生成しているスキン層の厚みは、約120 nm程度であることも分かった。 2.細胞培養基材への応用 FEを用いて得られるリンクルフィルムの液中AFM測定により、PBSへの浸漬5日後においてもそのリンクル構造が保たれることが分かった。さらに、リンクルフィルム上での3T3細胞の培養を行った結果、リンクルフィルムは培養皿と同等の培養効率を有することが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画通り、本手法におけるリンクル形成メカニズムの完全解明に成功した。また、計画に無い細胞培養基材への応用についても研究できた。
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Strategy for Future Research Activity |
繊維や粒子のような3D材料表面へのリンクル形成を実施する計画であったが、より波及効果の大きい『リンクルフィルムの細胞培養基材への応用』と『得られた知見に基づく新しいリンクルフィルム創製』に注力する。
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Causes of Carryover |
購入予定であった主要な原料であるキトサンを企業から提供してもらえた。また、実験器具の購入が想定よりも少なかった。当初計画になかった細胞培養を始めることから、残金は、それらの消耗品費として利用する。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] Application of Bio-Based Wrinkled Surfaces as Cell Culture Scaffolds2018
Author(s)
Izawa Hironori, Okuda Noriko, Yonemura Tomoe, Kuroda Kohei, Ochi Kosuke, Ifuku Shinsuke, Morimoto Minoru, Saimoto Hiroyuki, Noda Mayuko, Azuma Kazuo, Ito Norihiko
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Journal Title
Colloids and Interfaces
Volume: 2
Pages: 15~25
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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