2016 Fiscal Year Research-status Report
光照射で濡れ性制御が可能なポリイミドの創成とエレクトロニクス・バイオ分野への応用
Project/Area Number |
16K05924
|
Research Institution | Kurume National College of Technology |
Principal Investigator |
津田 祐輔 久留米工業高等専門学校, 生物応用化学科, 教授 (30270367)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | プリンテッドエレクトロニクス / 光照射 / 表面濡れ性制御 / ポリイミド / バイオメディカル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は最近,学術・産業の両面で重要な研究課題となっているプリンテッドエレクトロニクスなどに応用可能な,光照射により表面濡れ性を制御可能なポリイミドを創成するものである。従来,申請者の研究も含めて光照射により表面濡れ性を疎水性から親水性に不可逆的に変化させるポリマーが主で,その濡れ性変化の感度も十分とは言えなかった。本研究では①上記の疎水性⇒親水性への不可逆変化の高感度化を達成し,更に②光照射により疎水性⇔親水性を可逆的にスイッチング可能なポリイミドを新たに開発するものである。また,応用分野としてプリンテッドエレクトロニクスに加えて,表面の濡れ性制御が重要な意義を持つ細胞培養足場材料などのバイオメディカル分野に本研究を適用する検討を行う。 28年度の実績としては、上記①の高感度化をほぼ目的通りの水準で達成した。この高感度は半導体フォトレジストなどに適用されている特殊な分子骨格の導入(専門的にはt-Boc基などの導入)により、短時間(1分程度)、低エネルギー(長波長:365nmランプの使用)で目標を達成したものである。上記②の疎水性⇔親水性を可逆的にスイッチングする手法も特殊な分子骨格の導入(専門的にはアゾベンゼンやスピロピラン)により目的通りのスクリーニング実験結果を得ることができた。上記③のバイオメディカル分野への応用に関しては、未達ではあるが、培養実験のスクリーニングを行い、実験技術の習得に勤めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
①光照射表面濡れ性制御の高感度化をほぼ目的通りの水準で達成した。この水準に到達するにはこの高感度は1年以上の期間を要すると考えていたが、28年度半ばで既に目標の水準に到達することができた。また、②の疎水性⇔親水性を可逆的にスイッチングする手法の開発も28年度半ばで目的通りのスクリーニング実験結果を早期に得ることができた。③のバイオメディカル分野への応用に関しては最終年度(30年度)に実施する予定であったが、先行して培養実験のスクリーニングを行い、実験技術を習得することができた。この様な観点で、当初の計画以上に進展していると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)フィードバック検討;28年度に得られた光照射濡れ性制御の検討結果,各種の分析・解析を元にフィードバック研究を行い,より高性能の光照射濡れ性制御ポリイミドを探索する。現在、新たな分子骨格の導入方法に成功しており、不可逆型、可逆型共に更なる高性能化を図る。特に可逆型は未検討の領域(例えばリサイクル性)があり、これらを重点的に検討する。 (2)プリンテッドエレクトロニクス,バイオメディカル分野への応用;実験室レベルでの簡易パターニング(簡易フォトマスクとUVランプを利用した水のパターニング),一般的な菌もしくは植物細胞の培養実験で本ポリイミドフィルムを用い、細胞培養プレートとしての効果を確かめる。
|
Causes of Carryover |
物品の使用額が当初、予定した金額を下回った為、55,254円の繰越金が発生した。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品購入もしくは学会発表に伴う経費(登録料など)に使用する。
|
Research Products
(7 results)