2016 Fiscal Year Research-status Report
ゴム製品におけるフィラー補強効果のテラヘルツ分光による解明
Project/Area Number |
16K05925
|
Research Institution | Kurume National College of Technology |
Principal Investigator |
平川 靖之 久留米工業高等専門学校, 電気電子工学科, 教授 (80238344)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神野 拓也 久留米工業高等専門学校, 教育研究支援室, 技術職員 (60751683)
権藤 豊彦 久留米工業高等専門学校, 教育研究支援室, 技術職員 (70751668)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | ゴム / フィラー / テラヘルツ分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
ゴム製品は、補強効果を持たせるためにフィラーとしてカーボンブラック(CB)等が配合される。しかしながら、その補強効果の詳細は、ゴム製品というバルク状態での応力試験等に依るか、電子顕微鏡による微細すぎる領域の議論のみである。そこで、本研究では、バルクの形を取りながら、よりミクロな非破壊観察ができるテラヘルツ光を用いて、加硫(架橋)反応で生じるメッシュ構造とCBの性状の関係を絡めて計測を行う。本研究により、強靱なゴムを実現するには、CBがどのように分布するのが好ましいのか、どのような形状・サイズのCBが好ましいのかを実証・解明し、製品品質向上に結びつけるとともに、経験的手法に依存しているゴム製造の基礎的な箇所を学術的に明らかにすることを目的とする。 平成28年度は、CBの影響を評価するための準備を行った。すなわち、引張試験機を導入するとともに、CBを含まないSBRゴムコンパウンドを作製し、加硫特性曲線を計測、その結果からサンプルを用意する加硫時間を決定した。そして、各加硫時間におけるサンプルを引張試験機にかけて特性を計測し,その後、同じバッチのサンプルを、延伸可能な試料台に設置し、伸ばした状態でのTHz光の透過計測(吸光度分布評価)を行った。本データが、CBによる影響を評価する際の土台となる。なお、CBを服内サンプルの場合には、引張試験機で断裂させることが困難であったため、サンプルとしては伸ばした状態の「延伸サンプル」のみとなった。THz吸光度分布がサンプルの伸びの状態に応じて変化していく様子が、CBがないにも関わらず観察でき、内部で構築されている考えられるメッシュが引っ張られることで、THz透過に何らかの影響が現れることがはっきりした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究をすすめるのに必要な引張試験機を導入でき、今後の研究に必要なベースとなるデータ取得がほぼ出来ているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、平成28年度のベースとなるデータの再確認を行った後に、CBを配合したサンプルを作製、平成28年度と同様にサンプルを引っ張った状態でTHz透過の様子を評価し、どのようにTHz吸光度分布が変わっていくのかを評価する予定である。この際、CBの配合量、CBの種類なども変えながら実験を進める計画である。
|
Causes of Carryover |
現在使用しているTHz-TDSシステムのTHz光源に帯域が犠牲になるものの、比較的高出力の得られるボータイタイプのPCスイッチを用いたところ、従来のダイポールタイプの2倍以上のTHz信号が得られた。SN比を稼ぐために従来、窒素パージをして計測を行っていたが、その必要性が薄れたため、窒素ガス台相当が浮いた形となっている。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
CB配合のゴム試料計測時にはSN比が悪化し、窒素パージの必要性も出てくる可能性があるため、その窒素ガス台として使用するとともに、追加の工作費に利用する予定である。
|
Research Products
(4 results)