2016 Fiscal Year Research-status Report
トップダウン製法による薄片状Siナノ粒子の高容量リチウムイオン電池負極への展開
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16K05935
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
長谷川 丈二 九州大学, 工学研究院, 助教 (60726412)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | リチウムイオン二次電池 / シリコン / カーボン被覆 / ビーズミル |
Outline of Annual Research Achievements |
シリコン切粉を、粉砕することで得られたシリコンナノ粒子に、様々な厚みの炭素被覆を施し、その電気化学的リチウムイオン吸蔵特性についての知見を得た。 シリコンナノ粒子へのカーボン被覆は、エチレンガス気流中における焼成により行った。焼成時間を変化させることにより、カーボン被覆膜の厚みを変化させることができた。被覆量は、シリコン粒子の大きさにも依存するが、電子顕微鏡観察により、カーボン被覆量が10 wt%程度の場合、約4 ~5 nmのほぼ均一な厚さのカーボン膜がシリコン粒子表面に被覆されることが明らかとなった。異なる炭素被覆量(C/Si比)のシリコンナノ粒子を作製し、その電気化学的評価を行った結果、C/Si=10 wt%以上では、そのサイクル特性にほとんど変化が見られなかった。炭素量が増加すると、電極あたりのシリコン密度が減少するため、容量が低下することから、炭素被覆量を10 wt%に固定し、実験を進めることとした。この電極は、電流密度1800 mA/gで100回の充放電サイクル後においても、1500 mAh/g以上の容量を維持していた。 粉砕過程におけるビーズの粒径を小さくすることで、シリコンナノ粒子サイズを小さくすることが可能である。異なるサイズの炭素被覆を施したシリコンナノ粒子の電極特性の評価を行った結果、結晶子径を小さくすると、放電容量は減少するが、サイクル特性が向上する傾向が見られた。これは、小さなシリコンナノ粒子は、比表面積が大きく自然酸化膜の重量割合が大きいため、容量が減少する一方、Liの挿入脱離による体積変化が緩和されることによる効果であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
産業廃棄物であるシリコン切粉を粉砕することにより得た、シリコンナノ粒子の粒径制御を行い、さらにシリコンナノ粒子表面に均一な炭素被覆膜を導入する手法を確立した。また、粒子サイズおよび炭素被覆量の異なるシリコンナノ粒子のリチウム二次電池電極としての性能評価を行い、これらのパラメーターの最適化を行った。これらは、研究の計画段階において、研究の初年度に達成する予定の課題であり、従って研究は予定通り進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
充放電時のSiの体積変化が非常に大きいため、実用的なリチウムイオン電池電極と同程度の膜厚のSi電極では、充放電時にSiの集電体からの剥離が著しく、実際には使用できない。実際、本研究で作製した炭素被覆シリコンナノ粒子も電極の厚みを増加させると、サイクル特性が著しく低下する傾向が見られた。そこで、現在利用されている黒鉛と、トップダウン手法により作製したSiナノ粒子を複合化させることで、実際に使用可能なリチウムイオン二次電池負極の開発を試みる。混合する黒鉛の割合の最適化に加え、ボールミルなどの混合法の検討も行う。また、黒鉛を超える容量を示すアモルファスカーボンとの複合化も併せて試みる。
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Research Products
(14 results)