2017 Fiscal Year Research-status Report
炭酸エステル系電解液中のマグネシウムキャリアの吸蔵・放出に関する研究
Project/Area Number |
16K05959
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
土井 貴之 同志社大学, 理工学部, 准教授 (30404007)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 二次電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はリチウムイオン二次電池のエネルギー密度を凌駕するマグネシウム二次電池の実現を目指して、マグネシウム負極に適合する炭酸エステル系電解液および正極反応系の開発を目的としている。昨年度は、電解液中に微量のナトリウムイオンが存在することによってマグネシウム負極の充放電反応が促進されることを見出したが、共析するナトリウム金属は活性が高いため安全性が懸念される。そこで、今年度はマグネシウムイオンのみを含むエステル系電解液の再検討を行った。マグネシウム塩の合成方法を改善して高純度化を図り、また電池セルを改良することにより副反応を抑制した結果、ナトリウムイオンが存在しなくてもマグネシウム合金電極を50サイクル以上繰り返し充放電することに成功した。続いて、すでにエーテル系電解液中で充放電作動することが報告されているシェブレル化合物Mo6S8正極を固相法により合成し、上述の炭酸エステル系電解液を用いて充放電特性を調べた結果、可逆容量は約80 mAh g-1(理論容量は129 mAh g-1)と低いが、マグネシウムイオンが挿入・脱離することがわかり、世界で初めて炭酸エステル系電解液中での正極作動に成功した。このほか複数の新規バナジウム酸化物系の正極活物質を合成して充放電特性を調べたが、Mo6S8正極を上回る充放電性能は得られなかった。引き続き、正極の開発に取り組むことによりマグネシウム二次電池の実現を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の研究成果を見直して電解液および負極の再検討を行ったが、正極の開発も並行して実施することができた。次年度も引き続き、今年度開発した電解液系を用いて正極の開発に重点的に取り組む。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画では、次年度はリチウムイオンを導入してマグネシウムイオンとのデュアルキャリア系を構築し、エネルギー密度の向上を目指す予定であった。しかし、今年度の研究成果によりマグネシウムイオン単独でも十分に充放電作動できる見通しが得られたため、リチウムイオンの導入は見送ることとし、引き続きマグネシウム二次電池用正極の開発に取り組むことにより当該二次電池のブレイクスルーを目指す。
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Causes of Carryover |
(生じた理由)合成装置の購入を検討したが、一旦見送ったため。 (使用計画)今年度購入を見送った合成装置の仕様を再検討し、次年度初めに購入する。
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Research Products
(4 results)