2016 Fiscal Year Research-status Report
安全でしなやかな酵素燃料電池実現のための酵素‐電極界面材料開発
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16K05960
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
青柳 将 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 機能化学研究部門, 主任研究員 (50356333)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗田 僚二 国立研究開発法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 研究グループ長 (50415676)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 酵素燃料電池 / 静電相互作用 / 疎水相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
使用する酵素はメディエーターを用いない、直接電子移動により発電可能な酵素を用いることとした。具体的にはアノード用酵素にフルクトースデヒドロゲナーゼ、カソード用酵素にビリルビンオキシダーゼを選択した。集電材として用いるナノサイズの炭素材料にはグラフェン、カーボンナノチューブやカーボンブラックナノ粒子がある。カーボンブラックはリチウムイオン電池の集電材として用いられ、かつ安価に入手できため、これを用いた。カーボンブラック上の官能基を増やすために過酸化水素水中で加熱して酸化処理をおこなった。カーボンブラックに添加するポリアミン材料として、アミノ基含有有機ナノチューブのモデルとして、すべてのアミノ基が共有結合で固定化されたポリエチレンイミンを用いた。 以上の部材を用いて電極を作成し、フルクトースを溶解したpH5緩衝液中でサイクリックボルタンメトリーを測定することにより、カーボンブラックの酸化処理、ポリエチレンイミンの有無の電極反応への影響を調べた。 カーボンブラックのXPSを測定したところ、酸化処理前のカーボンブラックにも酸素由来のシグナルが観測され酸素官能基がわずかに存在することが確認された。反応後の試料ではシグナル強度が増大し、含有酸素の増加が示唆されたが正確な定量には至らなかった。また酸化処理したカーボンブラックを用いたCV測定ではアノード、カソードの両方で電流値が低下した。ポリエチレンイミンの添加についてはカソードでは電流値が増大したが、アノードでは顕著な電流値の増大は観察されなかった。 これらの違いは緩衝液のpHにおける、各部材の表面電位、親疎水性が影響していると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カーボンブラック、ビリルビンオキシダーゼ、フルクトースオキダーゼ、ポリエチレンイミンといった部材表面の化学特性と電気化学測定における電流値について、今後の組み合わせの指針を立てることができた。すなわち反応液のpHと、そのpHにおける各部材の表面電位の組み合わせにより、部材間に支配的に働く相互作用が疎水相互作用あるいは静電相互作用になり、これらを効果的に組み合わせることにより部材間の相互作用を強め、より高い電流を取り出せることが分った。また、ポリエチレンアミンとカーボンブラックが静電相互作用で吸着している場合はカソードでカーボンブラック単体使用時より電流値の向上が見られたが、両成分をアミドカップリング反応で固定化した場合、アノード、カソードの両方ともにカーボンブラック単体より電流値が低下することが分った。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度に検討した手法を用いて、計画にある有機ナノチューブおよびカーボンナノチューブ(あるいはカーボンナノファイバー)の組み合わせのアノードおよびカソードの両電極を作成する。それらの電極の電気化学測定を行い、ポリエチレンイミンの場合と比較によりその発電特性を評価する。また、糖を酸化するニトロキシルラジカルを有するTEMO誘導体などを人工酵素と見立てて、有機ナノチューブ上への固定化を検討する。さらに人工酵素固定化電極の電気化学特性を測定する。
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Causes of Carryover |
研究成果発表に遅れが出たため、それに必要な旅費等に次年度使用額が出た。また依頼分析については比較的安価なXPS分析での評価が中心となり、電子顕微鏡観察の一部も依頼分析ではなく、自ら測定を行ったため次年度使用額が出た。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年は積極的に外部発表をおこなう。そのための予算を使用する。また電子顕微鏡観察を自前で行うために必要な部品を購入数するために予算を使用する。
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