2017 Fiscal Year Research-status Report
ドライ・ウェット複合プロセスによるナノドットDLC皮膜の創製と構造制御
Project/Area Number |
16K05965
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
中村 雅史 茨城大学, 工学部, 准教授 (60302329)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 秀人 茨城大学, 工学部, 教授 (30090369)
崎野 純子 茨城大学, 工学部, 技術職員 (40272116)
阿相 英孝 工学院大学, 先進工学部, 准教授 (80338277)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ダイヤモンドライクカーボン / アノード酸化皮膜 / 表面改質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ドライプロセス表面改質法とウェットプロセス表面改質法とを融合させて優れた潤滑性、耐摩耗性および撥水性などを併有する革新的な高機能化膜を創製することである。本年度はアルミニウムのアノード酸化により創製されるポーラスーラスアルミナ皮膜をマスク材としてDLC膜を創製した.昨年度の課題となっていたマスク材の割れを防ぐよう治具を調整してカーボンをUBMS装置にてスパッタリングしてナノドットDLC膜の創製を試みた.マスク材のセル径を変化させて,ナノドッドDLC膜の形状について調べた.さらにスパッタリング時のバイアス電圧の影響についても調べた.得られた結果を以下に示す. ①治具を改良することでマスク材の割れを防止することができた,ただし,成膜範囲がφ2mm程度と極めて狭い範囲のみでしか成膜できなかった. ②ナノドットDLCの形成についてバイアス電圧の印加は有効であった.すなわち,原子間力顕微鏡SPMにてカーボンをスパッタ後の各供試材を観察した結果,バイアス電圧を印加しな場合では供試材表面にドット状の突起物ががほとんど確認ができなかったのに対し,バイアス電圧を印加した場合はナノスケールの突起物が表面上に観察された. ③孔径の異なるマスク材を用いてカーボンをスパッタした結果,形成されるカーボンの突起の径は用いるマスク材の孔径に依存することが分かった.すなわち,マスク材の孔径が大きいほど形成される突起の径が大きくなった.一方,突起の高さはマスク材の孔径の大きさに係わらずほぼ一定であった. ④以上からマスクと基材を治具にて固定する方法では,ナノスケールのカーボンの微細突起が形成されることは明らかになったが,成膜範囲が極め小さいこと,また,形成される突起は高さが低いこと,さらに局所的な分布であることから成膜方法の見直しを行なう必要があることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ナノドットDLC皮膜の形成が不十分であるため,摩擦摩耗特性,残留応力評価,曲げ試験などの機械的特性評価や、表面の濡れ性などの機能性評価を行なえていない.
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Strategy for Future Research Activity |
マスクと基材を治具にて固定する方法を用いてナノドットDLCの作製を試みた結果,カーボンがマスク材を通過し,基材上には突起の形成が見られた.しかしながら突起の分布が疎であり形状も不安定であった.この原因としてマスク材と基材を治具にて固定する方法では,両者の間に隙間が生じることが原因のひとつであると考えれらる.そこで,マスク材と基材の設置方法について別の方法を検討し,成膜を行なう.
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Causes of Carryover |
残金が5000円未満で小額であり研究に必要な消耗品の購入ができなかったため,次年度の助成金と合わせてそれらの購入に使用する.
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