2017 Fiscal Year Research-status Report
CFRP積層板における負のポアソン比の発現とその検証ならびに応用に関する研究
Project/Area Number |
16K05966
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松田 哲也 筑波大学, システム情報系, 准教授 (90345926)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 複合材料 / CFRP / ポアソン比 / 非弾性 / マルチスケール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,非弾性領域におけるCFRP積層板の負のポアソン比を高精度3次元ディジタル計測により直接的に測定し,負のポアソン比の発現・増大が起こることを実証するとともに,その解析手法を確立することで,複合材料のポアソン比に関する先駆的な成果を上げるとともに,複合材構造の高精度設計に資することを目的としている. 上記目的を達成するため,本年度においてはまず,数種類のアングルプライCFRP(炭素繊維/エポキシ)積層板の厚板試験片を用意し,一定ひずみ速度による引張試験を実施した.この試験の間,試験片の形状を昨年度導入した高精度3次元ディジタル画像計測装置により3次元的に計測することで,アングルプライCFRP積層板の板厚変化を測定し,積層板の積層方向ポアソン比,ならびに積層板の変形に伴う積層方向ポアソン比の変化を観測した.つづいて,実験により測定したCFRP積層板の積層方向ポアソン比およびその変化を,研究代表者が開発した均質化法に基づくマルチスケール解析手法に基づき解析した.これにあたっては,試験片の断面観察結果および積層構成の情報に基づき積層板のミクロ構造をモデリングするとともに,昨年度同定した炭素繊維およびエポキシの材料定数を使用した.得られた解析結果は,アングルプライCFRP積層板が負のポアソン比を発現し,それが積層板の非弾性変形の進行に伴い増大するという実験における観測結果を良く再現し,解析手法の妥当性が検証された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度においてはまず,昨年度開発した3次元ディジタル画像計測装置による積層方向ポアソン比の測定手法の測定精度を検証するため,昨年度実施した+-30アングルプライCFRP積層板の積層方向ポアソン比の測定を,複数本の試験片に対して行った.その結果,いずれの実験結果においても,積層方向ポアソン比が負となること,およびその値が積層板の非弾性変形に伴い大きく減少する(絶対値としては増大する)ことははっきり捉えられているものの,定量的にはばらつきが見られ,測定精度の改善が課題となった.このため,3次元ディジタル画像計測装置およびプリポスト処理ソフトウェアの精度検証,試験片サイズの再検討,引張試験環境の変更等を実施した.このため,当初は+-15,+-45等の積層板も用意する予定であったが,+-22.5,+-30にとどまった.
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Strategy for Future Research Activity |
まず,昨年度実験が実施できなかった積層構成に対して試験片を用意し,それらの積層方向ポアソン比を測定する.つづいて,実験および解析より得られたアングルプライCFRP積層板の負のポアソン比を含めたマクロ挙動を,できるだけ精度良く再現する非弾性マクロ構成モデルの構築を試みる.さらに,得られたマクロ構成モデルを汎用有限要素解析ソフトウェアにユーザーサブルーチンを用いて組み込むとともに,それを用いていくつかのCFRP構造について解析を実施する.
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