2017 Fiscal Year Research-status Report
インビボキネマティクスと接触解析に基づく関節軟骨の力学特性変化予測モデルの構築
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16K05970
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
小林 公一 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (70296317)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田邊 裕治 新潟大学, 自然科学系, 教授 (60143020)
大森 豪 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 教授 (70283009)
坂本 信 新潟大学, 医歯学系, 教授 (80215657)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 生体力学 / 関節運動 / 膝関節 / 関節軟骨 / 生体内評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
運動器における機能障害の発生要因を解明し、より効果的な予防法および治療法を開発するためには、関節における荷重伝達機構についての詳細な理解が必要不可欠である。特に関節への荷重負荷様式の変化と軟骨等関節を構成する組織の変性との相関関係を明らかにすることは、軟骨変性を伴う疾患である変形性膝関節症の発生と進行機序の解明に資する。本研究の目的は膝関節の生体内キネマティクスおよび接触圧力データに基づく関節軟骨の力学特性変化予測モデルを構築することである。平成29年度は、荷重伝達機構を検討するための基礎データである立位荷重時における三次元下肢アライメントをより低被曝かつ簡便に評価するため、スロットラジオグラフィを用いたアライメント測定法において従来の手動イメージマッチング法に代わり自動イメージマッチング法を開発した。そして、モデル大腿骨とモデル脛骨を用いて実験的に精度検証を行った結果、手動法より大幅に短時間でイメージマッチングが可能であることを示した。これにより同アライメント測定手法の実用性向上に資することができた。 さらに、健常膝を対象として、膝屈曲運動を2D-3Dイメージマッチング法により解析し,軟骨モデル同士の滑り量の指標として接触移動距離を求めた。歩行立脚期と膝関節屈曲運動時を対象に、脛骨軟骨における大腿骨軟骨の接触深さと接触点移動距離を評価した。その結果、接触深さと接触点移動距離の分布パターンが異なることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二方向スロット撮影と2D/3Dイメージマッチングを用いた立位荷重アライメントの三次元評価法について、二次元スロット画像と三次元骨形状モデルとの自動イメージマッチング法を開発した。従来の手動イメージマッチング法では作業に時間と労力を要しており、さらに操作者内および操作者間誤差の混入は避けられなかったが、自動イメージマッチング法の完成により、これらの問題を解決した。 対側健常膝を対象とした2D-3Dイメージマッチング法によるキネマティス解析を行った。軟骨モデル同士の滑り量を評価するため、片方の軟骨モデルについて、モデルを構成する各節点に対し相手軟骨モデルの節点との距離が閾値以下であれば接触していると分類し、運動を記録した時系列データにおいて接触節点をトラッキングすることで相対的滑り量を接触移動距離から推定する手法を検討した。軟骨同士の干渉量を迅速に求めるためユークリッド距離マップを援用した高速化手法を開発し適用した。歩行立脚期と膝深屈曲に適用した結果、脛骨関節面における大腿骨脛骨軟骨との接触移動距離は接触深さとは異なった分布パターンを示すこと分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き片側前十字靭帯損傷膝と対側健常膝を対象にキネマティス解析を行う。今年度は被験者5名を対象に解析を進める予定である。歩行立脚期と荷重下ならびに非荷重下のおける膝屈曲運動を対象に、脛骨に対する大腿骨の接触移動距離および接触深さを評価する。この結果をもとに,前十字靭帯の機能障害と軟骨における接触動態との関係について検討する。また、軟骨の力学特性を推定する指標を確立するため、ウシまたはブタ膝関節軟骨を対象として、軟骨の力学物性とMRIによる画像情報から得た軟骨構成成分との相関関係を調査する。すなわち、ウシまたはブタ膝をMR撮像し、軟骨厚さの他、含水量、コラーゲン量、プロテオグリカン量を測定しておく。その後、対象部位を抜き取って軟骨試験片を作成し、静的ならび動的力学負荷試験に供する。そして、弾性特性と粘弾性特性を測定し、軟骨校正成分との相関関係を探索する。
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Causes of Carryover |
当初計画より物品費、人件費および謝金の支出が少なかったことによる。平成30年度の関節軟骨力学試験にかかる消耗品費および研究成果発表(学会発表ならびに論文発表)費用に充当する予定である。
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Research Products
(5 results)