2017 Fiscal Year Research-status Report
新たな局所パラメータを用いた過酷温度における水素脆化の定量評価
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16K05980
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山辺 純一郎 九州大学, 水素エネルギー国際研究センター, 特任教授 (20532336)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤川 正毅 琉球大学, 工学部, 助教 (70549047)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 疲労き裂進展 / 水素拡散 / 有限要素法 |
Outline of Annual Research Achievements |
き裂先端の強塑性変形を想定した予ひずみ材の水素拡散特性を材料パラメータとし,有限要素法を用いた水素拡散・弾塑性連成シミュレーションによりき裂近傍の水素濃度分布を計算した.汎用有限要素法ソフトウエアABAQUSのユーザーサブルーチンを用いて,連成解析を実施した. まずは,従来報告されている水素拡散特性を用いた連成解析を実施し,得られた解析結果を文献データと比較した.同じ水素拡散特性を用いた場合には,文献データと同様な解析が得られた.続いて,本研究で取得した疲労き裂進展試験に用いた炭素鋼の水素拡散特性と従来報告されている水素拡散特性を用いて得られる解析結果を比較した.その結果,使用する水素拡散パラメータによってき裂先端における水素濃度分布が顕著に異なることが分かった.すなわち,従来報告されている水素拡散特性では本研究で用いた炭素鋼のき裂先端近傍での水素濃度分布を十分に再現できない可能性があることが示唆された. 最後に,高圧水素ガス中で実施した炭素鋼の種々の水素ガス圧力および試験周波数に対応した境界条件のもとで連成解析を実施した.高圧水素ガス中における複雑な疲労き裂進展特性の試験周波数依存性に対応し,き裂先端の水素濃度分布は水素ガス圧力や試験周波数により変化した.高圧水素ガス中における種々の試験周波数で実施した疲労き裂進展試験結果を参照し,『き裂先端の水素濃度勾配』を疲労き裂進展を加速させる局所パラメータと仮定した.その結果,局所パラメータを用いて水素により疲労き裂進展の加速が生じる応力拡大係数幅を予測することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度に計画していた局所パラメータを導入することにより,水素により疲労き裂進展の加速が生じる応力拡大係数幅を予測することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,水素により疲労き裂進展の加速が生じる応力拡大係数幅に加えて,疲労き裂進展の加速率を定量的に予測できるように,局所パラメータを改良していく.
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Causes of Carryover |
(理由)想定していた金額に対して,実際の金額が若干異なっていたため. (使用計画)当該年度の研究費に未使用額が生じたが,研究計画に変更はなく,当初の計画通りに研究を進めていく.
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Research Products
(3 results)