2017 Fiscal Year Research-status Report
最適微細組織設計による鉄コバルト合金の磁歪特性向上と積層振動アクチュエータの創製
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16K05997
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Research Institution | 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校(能力開発院、基盤整備センター) |
Principal Investigator |
山浦 真一 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校(能力開発院、基盤整備センター), 能力開発院, 准教授 (50323100)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 磁歪 / アクチュエータ / 水焼入れ / 集合組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、Fe-Co合金バルク材に種々の条件で熱処理・水焼入れを施し、その出現相や磁歪量を調べた。始めにFe34Co66合金インゴットから5mm×8mm×1mmの板状試料を切り出し、Ar気流中で焼鈍(750~1000℃, 3h)を行い、その後、試料を水中に落下させ、水焼入れを施し、それらの試料の出現相と磁歪量を調べた。その結果、本研究の範囲では、水焼入れによってもfcc相は見られず、750、850、900、950、1000℃の全ての熱処理温度からの水焼入れでbcc単相組織が得られた。Fe-Co二元系状態図を見ると、Fe34Co66組成では温度950℃ではbcc相とfcc相の二相領域付近、1000℃ではfcc単相領域となるが、本研究ではfcc相は得られなかった。一方、磁歪量を見てみると、850℃焼鈍後水焼入れを施した試料で最も大きな磁歪量125.6ppmが得られた。また、900℃焼鈍後水焼入れを施した試料でも109.2ppmの比較的高い磁歪量が示された。それ以外の焼鈍温度では、磁歪量はそれらより大幅に低く、90ppm以下であった。飽和磁化量はいずれの試料も210~220emu/gの範囲にあった。過去の薄膜の研究(Hunter et al.)と一定の関連性が見られ、適当な条件下での水焼入れによって磁歪量が増大することが確認された。集合組織化だけでなく、Fe34Co66合金に適切な熱処理を施すことによっても、さらに高磁歪量を引き出せる可能性が、本研究で示された。 また、Fe-Co-M合金の探索として、M=Mo添加を試み、合金を作製した。今後、その組織、特性を調査したい。 さらに、Fe-Co磁歪合金の逆磁歪特性を利用し、アクチュエータと構造的に類似な振動発電機の試作にも傍らで取り組み、電圧波形の振動周期がFe-Co合金芯材の固有振動数と等しいことなどの新たな知見を得つつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究においては、着目するFe-Co合金の加工性、集合組織、焼入れ特性と磁歪量の関係についての調査を軸に進めてきた。その中で圧延強加工による集合組織の形成、焼入れ熱処理が磁歪量を大きく向上させることが明らかになってきた。今後は、得られた知見を基にFe-Co合金の磁歪量に対する第三元素添加の影響のさらなる調査、アクチュエータ振動実験の推進について、次年度に向けて行っていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
H30年度は最終年度であるので、材料探索を引き続き行いつつ、アクチュエータ振動実験装置の構築、振幅を大きくするコイル形状の検討などアクチュエータ創製に向けて取り組んでいく予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)今年度は、早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構のナノテクノロジープラットフォームを利用し、研究を進めたため、消耗品等の購入が抑えられた。
(使用計画)計画の大きな変更を伴わない。今年度残額、次年度の研究費としては、主に金属素材やアクチュエータ作製用資材などの実験に伴う消耗品(金属地金類、薬品類、ガス類、試料作製装置用および測定・評価用消耗品)の補充が主なものである。旅費については、成果発表と共に研究者交流や情報収集を目的として、計上している。
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Research Products
(2 results)