2017 Fiscal Year Research-status Report
超高張力鋼板の成形CAEのための材料パラメータ同定と成形限界クライテリオン
Project/Area Number |
16K06011
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉田 総仁 広島大学, 工学研究科, 特任教授 (50016797)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日野 隆太郎 広島大学, 工学研究科, 准教授 (10283160)
濱崎 洋 広島大学, 工学研究科, 助教 (30437579)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 超高張力鋼板 / 板材成形 / CAE / 成形限界 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度では,主に以下の3つの課題について取り組んだ. 1.大ひずみ異方性の発展の決定法の確立: 高張力鋼板の大ひずみ異方性の発展を面内引張り曲げ実験から求める方法について確立した.これは板の圧延方向から角度α傾いた方向の試験片の応力σαとr値rαを弾塑性逆問題として求めることにより行われる. 2.異方性発達を考慮した穴拡げのFEMシミュレーションと実験: 1.で確立した鋼板の異方性発達を6次降伏関数とその発展モデルを用いて記述した.それを用いて,円孔板の平頭パンチによる穴拡げの数値シミュレーションを行った.異方性を一定としたモデル(等方硬化モデル)とその発展を考慮したモデル(異方硬化モデル)でのひずみ分布のシミュレーション結果を比較したところ,異方硬化モデルを用いた場合のほうが実験結果により近いことがわかった.また,楕円穴拡げの問題では,圧延方向に45度傾いた楕円穴縁からのひずみ集中が45度より圧延方向に傾いて起こる現象(実験結果)は異方硬化モデルでしか再現できなかった.これらの結果から,板材成形シミュレーションの高精度化のためには異方性発展モデルを使う必要があることがわかった. 3.面内引張り曲げを用いた伸びフランジ成形限界: レーザカット,ワイヤカットで作成した高張力鋼板試験片を用いて,面内引張り曲げを用いた縁割れ実験を行った.この結果から,ひずみ勾配が大きいほど限界ひずみが大きいことがわかった.ただし,成形限界ひずみに及ぼすひずみ勾配の影響は平頭パンチ円孔穴拡げでの結果とは定量的には同じにならなかった.また,面内引張り曲げにおけるひずみ分布をさらに詳細に調べるため画像相関法(DIC)による試験片内のひずみ分布について調べた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度では,板材の異方性の発達を記述するモデルに必要な材料パラメータを決定する方法を,種々の板材方向の面内引張り曲げ実験データを用いた弾塑性逆解析から決定する方法が確立できた.また,この方法を応用して,異方硬化モデルを用いた円孔および楕円孔の穴拡げのシミュレーションを行い,従来の等方硬化よりも精度の高い結果を得ることができた.また,面内引張り曲げによる伸びフランジ成形限界についても順調に研究が進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は本研究課題の最終年度となるので,まだ未完成の部分の研究を進めるとともに,研究の総括を行う.これまで得られた大ひずみ異方性発展モデルでは,二軸応力状態(例えば等二軸,平面ひずみなど)に焦点を当てた材料パラメータ同定法を検討する.伸びフランジ成形限界では,実際のプレスに近いモードの縁割れについて,実験およびシミュレーションから検討し,成形限界予測が可能なモデルの提案ができるようにする.研究期間全体を通して行った実験データを材料データベースとして取りまとめる.
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Causes of Carryover |
当初予定していた研究補助者の雇用が別途経費から支出されたため,次年度使用額が生じた.平成30年度は最終年度であり,実験,研究発表旅費を中心支出計画を立てている.
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