2016 Fiscal Year Research-status Report
通気特性を有する構造体を用いた射出成形金型における低エネルギー成形に関する研究
Project/Area Number |
16K06014
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
是澤 宏之 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 准教授 (70295012)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 金型 / 付加加工 / 射出成形 / 産業用3Dプリンタ / 成形加工 / 低エネルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
樹脂製の工業製品の大量生産に利用される射出成形法は,今後も主要な生産技術の一つであると期待されている.反面,大量生産のために使用エネルギーは莫大であり,省エネルギーの観点から.低(省)エネルギー成形技術の確立は喫緊の課題である.この実現のため,金属粉末をレーザ光線の照射によって選択的に焼結する産業用3Dプリンタを用いて,従来の除去加工では加工困難とされる形状および機能の実現により,低(省)エネルギー成形の実現を試みる. 初年度においては,次の様な成果を得た:(1)成形中のガスの排出状況を検討するために,基礎的な実験を実施するための金型を製作し,成形実験を実施した.成形中のガス圧力と実際の溶融樹脂の速度を計測した結果,ガスの排出不良に伴い,成形ガス圧力については上昇し,樹脂速度については,ある一定の射出速度以降では,変化を確認できなかった.(2)産業用3Dプリンタの特長を活かした,低密度焼結体と排気孔をもつ高密度焼結体を結合させたハイブリッド構造に関する通気特性の基礎実験を実施した.実験の結果,その通気特性は,低密度焼結体の通気特性に大き依存すると同時に,通気量に影響を与える通気孔の造形後の開孔状況が造形時の温度に影響を受けている可能性があることを明らかにした.(3)成形機に電力測定器を取り付け,成形中の電力量を計測した.成形性を成形品薄肉部の充填状況(面積)を評価した結果,消費電力が同一であれば,溶融樹脂の充填率の向上を確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
成形中のガスの排出状況を検討するために,基礎的な実験を実施するための金型を製作し,成形実験を実施した.年度途中で,金属造形機の設備不調による造形制限が発生し,樹脂の流動性と通気特性に関する実施に遅延が生じた.これについては,別途の同様な設備あるいは試作造形依頼などを検討することで遂行を試みる.ハイブリッド構造体の通気特性については,新たな造形が困難な場合,既造形物を用いての実験を試みる予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は,前年度未達であった内容の実験も含めて,当初計画に従って実施予定である.(1)ハイブリッド構造体の透過係数の実験的同定について:様々な形状を造形して実験する予定であるが,造形機の不調による造形困難が生じる場合は,数値解析を含めた実施も検討する.(2)ハイブリッド構造を用いた低エネルギー評価について:通気特性を向上することで,低エネルギー成形が実現できる可能性が高い.前年度の結果により,ハイブリッド構造の通気特性は,低密度焼結体の通気特性に依存することが明らかとなった.通気特性の向上には,その厚さを薄くする必要性があるが,元来,低密度焼結体の機械強度は低いことから,射出成形中の樹脂圧力に対する強度不足が懸念される.これより,通気特性と強度との関連性を考慮しながら取り組み,低エネルギー性の評価を実施する予定である.
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Causes of Carryover |
成形中のガス排出状況を検討するための基礎実験用金型の製作と成形実験実施に想定以上の時間を要した.そのため成形機のペレット投入口であるホッパー部分に設置予定であった,定量的にペレットを供給可能な装置(原料定量供給装置)の設置が遅延したためである.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H29年度は,定量的にペレットを供給可能な装置(原料定量供給装置)を設置して成形実験を実施予定である.
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Research Products
(3 results)