2017 Fiscal Year Research-status Report
高周波誘導加熱・レーザー重畳によるCFRTP成形法の開発
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16K06019
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Research Institution | Nippon Institute of Technology |
Principal Investigator |
安原 鋭幸 日本工業大学, 工学部, 教授 (70282829)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | CFRTP / 高周波誘導加熱 / 逐次成形 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、昨年度の穴あけに続き,簡易的な逐次成形による凸形状の三次元成形に取り組んだ.高周波誘導加熱装置の設定電圧と炭素繊維強化熱可塑性プラスチック(CFRTP)シートの加熱温度の関係を調べ,絶縁材の棒状工具によりZ方向の移動のみで成形できるハット型の加工を行った. 誘導加熱コイルの内径が50mmであるため,その中に組み込めるように治具を設計・製作した.特に板抑え力は成形性に大きな影響を与えるため調整できるようにした.まず,線径0.1mmのT型(銅-コンスタンタン)熱電対により,コイル内におけるCFRTPの表面温度を調べた.高周波誘導加熱装置の設定電圧を60-110Vまで変化させて単層(約0.7mm)のCFRTPシートの表面温度を測定した.60secでほぼ温度が安定して,110V-60secの条件で表面温度が280℃程度にまで上昇することがわかった.また,コイル内の位置は,高さ方向の中心付近で,外側に近い方が効率的に温度が上昇することがわかった.同じ加熱条件で,最も加熱されない場所では73℃,最も加熱される場所では224℃となり,150℃程度の差が確認された. 次にZ方向の成形実験を行った.工具で中心に10mmの変形量を与え,除荷のタイミングを加熱終了後,加熱中の二通りの実験を行い,マトリクス樹脂と炭素繊維の緩和による高さ方向の戻り量を測定した.成形温度が255℃と低い場合は5mm,280℃の場合は0.4mmであった.成形荷重においては,温度,変形(ひずみ)速度が遅いほど荷重が小さく,回復量は温度が高い場合には変形速度が速くても戻り量が少ないことがわかった.前述の通り,位置による加熱温度の差もあり,CFRTPシート全体が均一な温度状態になることは無く,また位置と時間によって変形回復量が変化する可能性があるため,今後は温度と回復量の予測を詳細に行う必要があることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
高周波誘導加熱装置とCFRTPシートを固定する治具の位置関係により,治具の温度が上がってしまうというトラブルが続き,三次元形状付与の実験の準備が遅れてしまった。 また,逐次成形時に予想以上に弾性回復量が多く,所望の形状を得るためには,温度と弾性回復量の予測を行う材料試験を行う必要が生じたため.
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Strategy for Future Research Activity |
CFRTPシートは熱可塑性樹脂と炭素繊維の複合体であるため,加熱により熱可塑性樹脂の緩和が生じる.変形時のひずみ速度,温度,加工力の関係を明らかにすることで,変形後の形状がある程度予測できると思われるため,CRFTPシートの温度,ひずみ速度,ひずみ量を変化させた実験を行い,変形回復特性を詳細に測定することにより,精度の高い凸形状の加工を実現させる.また,平成28年度に行った穴あけ加工を同時に行うことで繊維の切断が少ない加工法の確立を目指す.
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Causes of Carryover |
CO2レーザー援用により高周波誘導加熱では不足する部分の加熱を行い,さらに成形性の向上を試みる予定であったが,レーザーの出力とCFRTPシートの温度上昇の関係を明確に出来ず選定を延期してきた. しかし,29年度の後半に大学内の他研究室のCO2レーザーにより試すことが出来たため,この障害は無くなった.30年度の早い段階で購入する必要予定である.
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Research Products
(1 results)