2016 Fiscal Year Research-status Report
マイクロデバイスの高気密封止のための金属の常温接合に関する研究
Project/Area Number |
16K06034
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
倉島 優一 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 集積マイクロシステム研究センター, 主任研究員 (70408730)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 秀樹 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 集積マイクロシステム研究センター, 総括研究主幹 (00357344)
鈴木 健太 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 集積マイクロシステム研究センター, 研究員 (60709509)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 平滑化 / 常温接合 / MEMS / 封止 |
Outline of Annual Research Achievements |
マイクロデバイスの気密封止には金メッキによる封止枠等が広く用いられているが、メッキによる金の表面は非常に粗いため、高温・高圧下で金を変形させて接合面同士の密着を図る必要がある。このため熱膨張係数の異なる異種材料を含むマイクロデバイスのような場合には、接合後に熱応力が残留するなどの問題がありデバイス特性を悪化させる原因になっていた。本提案では,超平滑な基板表面にスパッタ成膜された金薄膜を封止基板上の金メッキ表面に写しとる手法を開発し、表面活性化常温接合へ適応を図る。 本年度は、原子レベルで平滑な基板表面に金薄膜を成膜し、この平滑な基板表面の形状を封止基板上にメッキした封止枠表面上に直接転写することで、原子レベルで平滑なメッキ表面の実現を図った。平滑な基板には表面粗さ0.2 nm rms程度の熱酸化膜付き4インチシリコンウエハーを用い、封止枠は4インチシリコン基板上にフォトリソグラフィーと金の電気メッキにより100umの線幅で3mm角の形状を6mmのピッチで作製したものを用いた。超平滑な基板表面全体に成膜した金薄膜と封止基板上のメッキを熱圧着法により接合した後、超平滑基板と封止基板を引きはがすことで超平滑基板上の金薄膜は封止枠形状にきれいにはがれてメッキ表面に転写された。メッキ直後及び平滑化後の表面の形状を原子間力顕微鏡で測定した。その結果、メッキした直後の金表面は数10nmの凹凸があり表面粗さはSq=4.43nm rmsと粗く常温接合に適応出来るような面では無かったのに対して、開発した手法により平滑化した金メッキ表面の表面粗さはSq=0.58nm rmsと原子レベルで非常に平滑な表面を形成することに成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の大きな目標としては常温接合に適応できるメッキ表面を形成する手法を開発することであり、Sq=1nm rms以下の表面平滑化を目指していた。提案している”メッキ表面に平滑基板上の金属薄膜を転写”手法では、まず平滑化基板から金属薄膜を完全に剥離させることが出来るかが最大の問題であったが、多方面から検討したところ金属薄膜に最適な条件を見い出すことが出来た。これにより研究の大きな進歩があり本年度は順調に研究が進んだと考えている。本研究成果は次年度に発表予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度までに常温接合に適応できるような平滑なメッキ表面を形成することが出来た。来年度以降は本年度までに開発した技術を元に作製した平滑なメッキ表面を用いて常温接合に適応させ、接合強度や気密封止などをへの適応を検討していく予定である。
|
Causes of Carryover |
本年度は研究が当初想定していた以上に進展した。このため、特にメッキ液などの実験サンプル作製に必要な消耗品にかかる支出が抑えられた。しかし、当初予想もしていなかった発展性が研究を推進していく中で見出すことが出来たため、次年度当初以上の実験や成果発表にかかる経費が見込まれるためである。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初は粗いメッキ表面の平滑化を考えていたが、さらに発展したものへも(粗い基板上に形成したメッキ表面にも本手法が)適応できる可能性が出てきた。このため、メッキ液をはじめ、粗い基板やその研磨など委託加工をはじめ、成果を国際学会等で外部発表などに次年度繰り越した分を使用する。
|