2016 Fiscal Year Research-status Report
歩行中のすべり転倒機構の体系的解明に基づく転倒防止性に優れた超耐滑シューズの開発
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16K06038
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山口 健 東北大学, 工学研究科, 准教授 (50332515)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀切川 一男 東北大学, 工学研究科, 教授 (60173605)
柴田 圭 東北大学, 工学研究科, 助教 (60612398)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | すべり / 歩行 / 転倒 / 耐滑シューズ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,以下の3点を行うことである. (1) 歩行中の靴底と床面間の接線力係数に基づいて,すべりの発生及び転倒防止に必要な靴底/床面間の静摩擦係数・動摩擦係数を解明する.(2) 靴底と床面間の必要摩擦係数と歩行動作の関係から,すべりにくい歩行動作を解明する.(3) 油で濡れた床面において,すべりが発生しにくく,転倒防止性に優れる超耐滑シューズを開発する. 平成28年度の研究では,健常成人16名(男性8名,女性8名)に対して直線歩行,右方向への60°及び90°の方向転換(軸足:右足及び左足)を3水準の歩行速度(遅い,普通,速い)で行うよう指示した.その結果,踏込期間では,左足を軸足とする90°右方向への方向転換において歩行速度が速い場合に,最も高い必要摩擦係数(RCOF=0.31±0.03)を示した.一方,踏切り期間では,踏込期間と同様に,左足を軸足とする90°右方向への方向転換において歩行速度が速い場合に,最も高いRCOF(0.37±0.04)を示すことが分かった.以上の結果から,すべりを生じないためには靴底と床面間には0.4以上の静摩擦係数が必要であるといえる.また,静摩擦係数よりも動摩擦係数は小さい場合には急滑りとなり,転倒しやすくなることから,動摩擦係数についても0.4以上の値が必要といえる.以上のことから,すべりの発生及び転倒防止に必要な靴底/床面間の静摩擦係数・動摩擦係数は0.4以上である. 上述の歩行実験において推定されたCOM位置と床反力の作用点である圧力中心点(COP)を結ぶ直線と垂線のなす角度θの正接(tanθ)が,必要摩擦係数と高い正の相関(R>0.87, p<0.05)を示すことが分かった.このことからすべりにくい歩行動作は,この角度θを小さくすることができる歩行動作であることが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度では当初計画通り,直線歩行,方向転換実験により,必要摩擦係数に基づくすべり転倒防止のために必要な静摩擦係数,動摩擦係数を明らかにすることができた.また,動作解析により,必要摩擦係数を低減できる歩行動作,すなわち,すべりにくい歩行動作に関する有用な知見を得ることが出来た.以上のことから,当初の目標に対して順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度では,矩形のゴムブロックの厚さ,硬度を変化させたブロック試験片を作製し,ゴム片の長手方向とすべり方向のなす角度α°を,0~90°に変化させて油潤滑下におけるすべり摩擦試験を行い,平成28年度で明らかとなった静摩擦係数,動摩擦係数の基準値(0.4)以上の値を示す矩形ゴムブロック形状を明らかにする.さらに,ガラス板を用いた接触面観察により,矩形ゴムブロックの形状と接触面積の関係を明らかにするとともに,摩擦トルクに起因するゴムの変形に着目し,油潤滑下において高摩擦を示すゴムブロックパターンの設計指針を明らかにする.
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Research Products
(3 results)