2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K06064
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小林 一道 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (80453140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 宏之 北海道大学, 工学研究院, 助教 (00632580)
渡部 正夫 北海道大学, 工学研究院, 教授 (30274484)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 気体論境界条件 / 2成分混合気体 / 分子気体力学 / 蒸発・凝縮 / 凝縮係数 / Boltmzann方程式 / 気泡崩壊 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、分子動力学法を用いて気液平衡状態における2成分気体に対する気体論境界条件の構築を行った。凝縮性気体(蒸気)はアルゴン分子を用い、非凝縮性気体にはネオン分子を用いて計算を行った。温度は85Kと95Kの2パターン行った。気液界面における蒸気および非凝縮性気体分子の振る舞いは、研究代表者らが以前に提案した方法を用いて調べた。この方法は、2つの仮想的な境界を用いることで、蒸発・反射・凝縮・溶解・脱気する分子を判別するものである。本結果より、計算系内の非凝縮性気体分子数が多くなるほど、蒸気の凝縮係数の値は小さくなることが確認された。さらに非凝縮性気体の凝縮係数も調べた。また、これら凝縮係数の温度依存性も調べた。この結果より気液平衡状態における2成分混合気体の境界条件の構築に成功したといえる。さらに、気液界面における分子の詳細な振る舞い(例えば速度分布関数や、反射分子が気液界面に滞在している時間など)を調べることにも成功した。 構築した2成分混合気体の境界条件の応用例として、球形気泡の膨張・収縮問題に着目した。気泡は蒸気と非凝縮性気体で構成されているものとする。気泡内部の混合気体にはBoltmzann方程式を用いた数値解析を行い、気泡の運動方程式と連立して計算を行った。本結果より、気泡が激しく崩壊した時、気液界面の非凝縮性気体の濃度が急激に上昇することが確認された。また、この傾向は、初期における非凝縮性気体の割合が蒸気に比べ少ないほど顕著になることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、分子動力学法を用いて気液平衡状態における2成分気体論境界条件の構築を行い、構築した境界条件を気泡の崩壊問題などの気液混相流れに応用することである。本年度は分子動力学法によって平衡状態の2成分混合気体の境界条件の構築に成功した。よって当初の目標を達成したといえる。さらにその境界条件を用いた球形気泡崩壊問題の数値解析を行い、気泡内部の2成分気体の流れの詳細を知ることができた。よって本課題は順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、分子動力学法などを用いて非平衡状態における2成分気体論境界条件の構築を行う予定である。また、これら境界条件を用いて、気泡の崩壊問題を中心に数値解析を行い、蒸気-非凝縮性気体で構成される気泡の極限物理の解明を目指す。特に,これまでは蒸気分子の凝縮・蒸発のみ考えていたが,今後は非凝縮性気体の溶解なども考慮した計算手法を構築してゆく予定である。
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Research Products
(6 results)