2018 Fiscal Year Research-status Report
静電場中でのシートジェットの安定性と薄膜形成への応用
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16K06082
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
吉永 隆夫 同志社大学, 研究開発推進機構, 嘱託研究員 (40158481)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 平面ジェット / 表面張力 / 静電場 / 非線形 / 不安定 |
Outline of Annual Research Achievements |
弱電導性の2枚の平行平板シース間を,スリットノズルより噴出した平面液体ジェットが流れるとき,流れの方向に平行な静電場がジェットの安定性と薄膜形成に与える影響を非線形現象まで含めて解析的に調べている.特に,粘性率や表面張力などの流体パラメータと,電気伝導率や誘電率などの電気パラメータの影響がジェットの形状に対してどのように現れるかを明らかにする.昨年度までに,外部流体の電気伝導率を無視した場合の非線形方程式を長波近似を用いて導出し,ノズル出口での境界条件の下で方程式の数値的な解析を行った.その結果,外部電場が強くなるかまたはジェット流体の電気伝導率が大きくなるとジェット先端部が急激に加速され薄くなることが示された. 今年度はさらに,周囲流体部の電気伝導性を考慮した解析を行い,ジェット流体と周囲流体の電気伝導率や誘電率の比がジェット先端部に及ぼす影響を調べた.その結果,電気伝導率比と誘電率比の積がある値を超えると先端部形状の特性が急激に変化することがわかった.さらに,このような特性に関して,一様電場中でその軸が垂直に置かれた液体円柱の変形を調べた.このとき,静電力により円柱断面は楕円形状に変形するが,電気伝導率比と誘電率比の積の値により,楕円断面の長軸が電場に平行な場合がジェット先端部形状が薄くなる場合に対応し,長軸が電場に垂直になるときジェット先端部の形状が鈍頭に変形する場合に対応することが示せた.そのことから,液体円柱の変化とよく似たメカニズムでジェット先端部の形状変形が説明できる可能性があることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
厳密数値解析ではレベルセット法を用い基礎方程式を直接数値解析を行うが,表面電荷の移動を含む自由界面の取り扱いが複雑なため,現在のところ表面電荷の影響のない電気伝導性の非常に良い(電気ペクレ数が十分小さい)場合についての解析がおこなわれている.そのため自由界面の取り扱いにおいて,表面電荷の運動を考慮するようにさらに数値プログラムを修正する必要がある.
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Strategy for Future Research Activity |
理論解析において,周囲流体中での静電場の解析における近似精度が,ジェット流体中での近似精度に比べて少し低い懸念がある.そのことは厳密な線形安定性解析と長波近似した方程式の線形安定性解析を比較すると,不安定増幅率に若干の違いがみられることからわかる.もちろん非線形解析におけるジェット先端部の形状に関しては定性的に変わらないが,周囲流体部の電場解析の改良により,より精度の高い解析が期待できる.
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Causes of Carryover |
数値解析で解析プログラムの作成に時間がかかり,新しいより高性能の計算機の購入を遅らせた.計算機での購入品目は主にCPUとメモリーであるが,そのための予算は昨年度繰り越し分と当該年度請求分の約半分を充てる.残り半分は旅費等に充てる予定である.
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Research Products
(5 results)