2017 Fiscal Year Research-status Report
流れを伴う界面への界面活性剤の吸脱着現象の実験的解明とモデル化
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16K06083
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
細川 茂雄 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (10252793)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨山 明男 神戸大学, 工学研究科, 教授 (30211402)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 流体工学 / 混相流 / 界面 / 界面活性剤 / 吸着・脱離 / 流体計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は,実験的に界面への界面活性剤の吸脱着特性を調べるとともに,静的な吸脱着モデルを用いた数値計算の結果と比較し、その妥当性を検証した. このため,計測手法に関しては、軸対称2次元流れにおいてNavier-Stokes方程式および連続の式を用いて圧力を算出するアルゴリズムを構築し,SFVにより測定した速度分布から 圧力分布を算出するプログラムを開発した.これにより,液滴に作用する圧力,剪断応力,マランゴニ応力が全て評価可能となった.また,液滴内外速度分布を沈降方向に異なる位置で測定することにより,液滴の沈降に伴う界面活性剤界面濃度の変化を測定し,その結果を界面活性剤界面濃度輸送方程式に代入することにより、輸送方程式に現れる全ての項を実験的かつ定量的に評価した.具体的には,2時刻における界面活性剤界面濃度から時間変化項を,界面速度および界面活性剤界面濃度から移流項を,界面活性剤界面濃度分布から拡散項を評価し,それらの残差として吸着・脱離に伴う生成項を評価した.その結果,従来用いられてきたFrumkin-Levichモデルが汚染により流動が無くなった液滴界面には適用できるものの、流動する液滴界面には適用できないことを明らかにした.また、流動界面におけるて吸着・脱離に伴う生成項はGeneralized Frumkinモデルにより概ね良好に表現できることを確認した.さらに、界面活性剤の吸着・脱着を考慮した数値計算を実施し、静的な吸脱着モデルを用いた場合、数値計算の結果と実験結果に無視できない差が生じることを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通り,1)時空間フィルタ流速系(SFV)により測定した液滴周りの速度分布から圧力を評価するプログラムを作成し,実験的に液滴に作用する圧力、粘性応力、マランゴニ応力を評価できる実験計測手法を確立した.また、2)液滴の沈降方向に異なる位置で液滴周囲流動を測定することにより,液滴の沈降に伴う界面上界面活性剤濃度の 変化を調べ,界面上界面活性剤濃度輸送方程式の全ての項を実験的かつ定量的に評価した.さらに,3)実験結果から既存のFrumkin-Levichモデルが流動する界面に適用できないことを明らかにし,この場合Generalized Frumkinモデルが実験結果をよくあわわせることを示した. 以上のように当初計画どおりに研究が進展しており,概ね順調に進展していると評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
異なる流動状態における実験結果を蓄積し、H29年度に得た知見の一般性、適用範囲を検討する。また、数値予測に利用できるモデルを構築する。さらに、本モデルを組み込んだ数値予測手法を構築し、計算結果と実験結果の比較を通して、本モデルの有用性を確認するとともに、必要に応じて今後の課題を明確にする。さらに、研究成果を総括し、公表する。
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Causes of Carryover |
次年度の成果発表旅費が当初予定より増えることが予想されるため、本年度の実験使用物品の共用などにより予算の縮減に努めた結果、次年度使用額が生じた。したがって、次年度繰越し額は主に国際会議における成果報告のための旅費として使用する予定である。
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