2016 Fiscal Year Research-status Report
渦の遷移プロセスと渦の発生を予測するトポロジー解析技術の開発
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16K06094
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
中山 雄行 愛知工業大学, 工学部, 准教授 (50440631)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 渦予測 / swirlity / 旋回平面 |
Outline of Annual Research Achievements |
流れの幾何・トポロジーの解析において、速度勾配テンソルにより得られる局所流れのトポロジーに関する物理量swirlityまたsourcity等の時系列変化を解析するプログラムを開発した。ある対象点周りのトポロジーが渦に変わる、即ち渦流れが生成されるとき、その点におけるswirlityは負の値から正の値へ変化する。この変化を元にして、ある時点において渦流れに変わる点における上記物理量の時系列変化をモニタリングすることが可能になった。 更に、速度勾配テンソルの特定の固有値に関する固有平面が旋回平面に遷移することを本解析にて示した。渦流の旋回平面は、速度勾配テンソルの複素固有値に関する複素固有ベクトルの実ベクトルと虚ベクトルにより張られる(定義される)平面である。渦流に遷移する前において、速度勾配テンソルは実固有値を有するが、これらの内の同符号である二つの実固有値に関する固有ベクトルにより張られる平面の法線ベクトル、また渦流に変化したときの旋回平面の法線ベクトルの時系列変化を解析すると、前述した法線ベクトルが旋回平面の法線ベクトルに滑らかに遷移することが示された。これにより、旋回平面を予測し、かつこの平面に関わる座標系を定義することができる様になった。これは、渦流れに変化するときに、旋回平面を基準としてどの方向に関わる流れー即ち速度勾配テンソル成分―が渦流れのトリガーとなるか、という分析が可能となることを示す。 これらの解析を一様等方性減衰乱流に適用し、予測された旋回平面上の特定の方向のせん断流れ(速度勾配テンソル成分)が渦流れのトリガーとなっていることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に予定していた解析プログラムを開発し、一様等方性減衰乱流において渦流れの遷移過程の分析を進めている。 渦の生成前状態と時系列変化を同定する渦流解析では、局所流れのトポロジー(Local flow topology)を定める速度勾配テンソルの変化と同テンソルの固有値、固有ベクトル、また種々のトポロジーに関する物理量を評価し、また本研究に関わる理論を検証する数値解析プログラムを開発した。 この解析プログラムでは、複数の時間において渦流れの強さを示すswirlityの分布を解析し、特定の時間ステップにおいて渦流れに変わる領域(流動解析における節点)を同定し、その渦領域・点における流れのトポロジー(物理量)の時系列変化―時間を遡って生成前から渦の発達に至る過程―を解析する機能も有している。 また、流動解析におけるDNS(Direct Numerical Simulation)では、一様等方性減衰乱流において渦流解析に必要な物理量の計算と出力等のプログラム調整を行った。 本解析プログラムを一様等方性乱流のDNSに適用し、渦生成前の固有平面と旋回平面の同一性の分析を行い、旋回平面の予測の適性について調べた。ここでは、渦流になる前の速度勾配テンソルの二つの固有値に関する固有ベクトルにより定義される固有平面が、渦流遷移時に旋回平面になることが示された。これにより、渦流時に旋回平面となる面とこの法線による座標系を定義することができ、この座標系における速度勾配テンソルの変化をモニタリングすることにより、旋回平面を基準としてどの方向の成分・流れが渦流に変わるトリガーとなっているか特定することが可能となった。この解析結果によると、旋回平面における特定の方向のせん断流れの方向の変化が、渦流れの遷移に大きく関わっていることが示された。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の研究に引き続き、渦生成前後の物理量また速度勾配テンソルの変化と特性について解析を行う。また、渦生成前後における各渦度成分の変化について調べ、渦生成におけるそれぞれの渦度成分の役割について探る。更に、流れから抽出した周方向速度の対称性、また半径方向速度の対称性等について変化を解析し、渦生成との関わりについて調べる。 また、これらの解析においてレイノルズ数を変化させて行う。解析対象の流れとしてH30年度は非等方性乱流を検討していたが、流れを複数のスケールに分解し、それぞれのスケールでの渦流遷移の特性を分析することが、様々なスケールにおける渦予測への応用性につながると考え、このスケールに関する流れの特性を調べていく予定である。即ち、擬スペクトル法において、バンドパスフィルタを用いて流れを幾つかのスケールに分解し、そのスケールにおける渦流れの遷移、またこの渦予測技術に関わるswirlityの特性について分析を行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主要な要因は、ワークステーションの購入に関するものである。平成28年度にワークステーションを購入する計画であったが、本年度では数値解析プログラムの開発と検証、また解析を始めた状態であったため、乱流の数値解析を含め本格的な解析を始めるときに高性能なワークステーションを購入するものとして本購入を次年度以降に繰り越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
購入を繰り越したワークステーションについては、数値解析が本格的かつ計算量が多大になる工程を見計らって購入するものとする。その他の予算計画について変更はない。
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Research Products
(1 results)