2017 Fiscal Year Research-status Report
マイクロフルイディクスにおける表面張力効果を利用した液操作技術の検討
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16K06095
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
山本 恭史 関西大学, システム理工学部, 教授 (90330175)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 流体工学 / 混相流 / 表面張力 / 微小スケール / 濡れ性 / エレクトロウェッティング / 電気流体力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,流体を利用する微小装置であるマイクロフルイディクスにおける液を操作するための技術として有効な表面張力に関する現象(濡れ性の制御,エレクトロウェッティング,マランゴニ効果)について,その現象を数値流体力学で表現するためのモデリングを行うとともに,効率的な操作を行うための支配要因を検討することであるが,現状で,今年度,以下の成果が得られた. (1) エレクトロウェッティングについて,経験式を用いた簡易なモデルを用いてシミュレーションコードを作成し,他者の実験結果を再現できることを確認した.さらに,エレクトロウェッティングによる液滴移動の理論モデルを作成し,数値実験により妥当性を確認した.この成果は国際的に権威のあるジャーナルに掲載された. (2) エレクトロウェッティングについて,経験式を用いないモデル開発のために,電場をマクスウェル方程式を解いて求め,電気力を直接評価するコードの開発を行った.気液界面を含む流れ場を解くシミュレーションコードに組み込むために,1流体モデル表現と同様の手法で,適切な電気力評価の方法を丁寧に検討した.表面張力の影響と電気力の影響のバランスによって液滴形状が変わるので,他者の理論と比較し妥当性の検証に取り組んでいる. (3) 電場の方程式は,境界のみを離散化することでシミュレーションができる境界要素法によって解くことが出来る.本研究で用いている気液界面を三角形要素の集合として表すFront-tracking法と組み合わせれば,表現精度と計算効率が優れた計算手法ができると考えられる.その具体的な手法について,検討中である.簡単な系に対する境界要素法による電場解析コードは開発できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度丁寧に検証した電気力学シミュレーションコードを,気液二相流シミュレーションコードと合体し,電場の影響を受けながら運動する液滴をシミュレーションできるようになった.現在,その妥当性を丁寧に検証しているので,エレクトロウェッティングの表現まで到達していない.
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Strategy for Future Research Activity |
電気流体力学コードによる液滴運動のシミュレーションコードについて,基礎的な妥当性検証が済み次第,壁面の濡れ性を考慮した条件でシミュレーションを行い,エレクトロウェッティング現象が,再現可能かを検証する.電気力による液滴の運動によって,壁面の濡れ性が変化しているように見えるだけなのか,電気力を考慮しても,濡れ性が本当に変化していることを考慮しなければ再現できないのか,という物理的に非常に興味深い問題を考察する.
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Causes of Carryover |
(理由)数万円の余りでおおむね予定通りであったので,無理に使用しなかった. (使用計画)最終年度の計算で得られる大量のデータを保存するためのブルーレイディスク用として,当初の次年度予定(112,000円)に加えて,今回生じた分(62,912円分)を充てて,データ保存用に有効に使用する.
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Research Products
(4 results)