2017 Fiscal Year Research-status Report
大気拡散風洞を用いた蛇行プルーム内部のライン画像計測による濃度変動特性のモデル化
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16K06097
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Research Institution | Kushiro National College of Technology |
Principal Investigator |
小杉 淳 釧路工業高等専門学校, 創造工学科, 准教授 (60290673)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 大気乱流拡散 / 蛇行プルーム / 風洞実験 / 相対拡散 / ライン計測 / 乱流レイノルズ数 |
Outline of Annual Research Achievements |
Active Gridを装着した風洞を用い,プルームの蛇行拡散現象が顕著に観測される短時間拡散場を再現し(Taylorのマイクロスケールに基づく乱流レイノルズ数324),時間平均特性である全拡散(Taylor型拡散)と瞬間特性であるプルーム内部の相対拡散(Richardson型拡散)をレーザによるライン計測から分離抽出し,主として濃度場の間欠特性について求めた.レーザとラインスキャンカメラを組み合わせたライン計測の基礎的技術は確立し,全拡散のデータに関しては従来のレーザによる点計測結果とほぼ等しいことが確認された.平均濃度分布の分散は従来の点計測とほぼ同じ値が得られ計測の本実験手法の精度を確認した.また,濃度場の全拡散およびプルーム内部の間欠率を分離して抽出し,間欠率分布の流れ方向への変化,および中心軸上間欠率の流れ方向変化および全拡散の間欠率に対する相対拡散と蛇行拡散の寄与度を明らかにができた.主流に直角(Y)方向の間欠率分布は,全拡散ではX/d=40(X:流れ方向座標,d:トレーサ放出ノズル内径),相対拡散ではX/d=80付近までは中心部付近で平坦な分布となるが,それ以降ではほぼ正規分布に従う.平坦になる理由はノズルからの噴出し流速が,ノズル挿入による速度欠損分を補うため主流の1.2倍程度となっており,噴流的な要素が若干残るためとも考えられるが,蛇行によりプルームが激しく振られることによるとも考えられる.より詳細にこれらの特性を検討するためにはさらに蛇行の規模が大きな乱流場で実験を行う必要があり,乱流レイノルズ数445の場でも実験を行ったが,トレーサの希釈が激しくなり,計画した実験装置では十分な精度の計測ができないことが確認されたため,トレーサ供給装置の改良を行い,新たに流動層をベースとしたシステムを構築し,実験に十分な濃度のトレーサを供給できることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
進行が遅れている理由は主に次の2つの理由である. 1つは構築したライン計測システムでは,実験予定の最大乱流レイノルズ数の場合,トレーサの希釈が予想以上に激しくS/N比の非常に悪い計測しかできないことが明らかとなった.レーザやカメラなどの計測システム上の見直しは難しいため,トレーサー濃度を濃くする方法を選択し,既存のシステムを生かしながら流動層ベースのあらたなトレーサ発生装置の考案を行い開発した.実験の結果,大幅な濃度向上が確認され,実験に用いることができることがわかった. 2つ目の理由は,データ解析の手法であるが,本実験ではプルームの瞬間特性である相対拡散の濃度変動を明らかにするが,その際,プルームの蛇行拡散や相対拡散の指標を標準偏差などで求め評価することに大きな意義があると考えている.このとき,相対拡散の濃度特性を算出する場合,プルームの重心位置を各ライン画像から求め,その重心位置を基準としてアンサンブル平均して求める.しかし,拡散が進行していくにつれ,プルームの断片化が進み,プルームの断面特性を正確に抽出できず,蛇行の規模や相対拡散の分布の広がりを正確に求めるアルゴリズムが定まらず,この部分のデータの処理方法について様々なアプローチから解決方法を探っている状況である. 以上の理由により,実験とその解析に遅れが生じている.
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Strategy for Future Research Activity |
トレーサの濃度不足による問題は解決したので,予定している,すべての実験(一様乱流,一様せん断乱流)を早期に終了させ,データ解析のためのアルゴリズムの開発とその検証,および主として相対拡散に関わる理論や数値計算結果との比較検討を行い論文作成に着手する.また,研究結果の一部はH30日本機械学会流体工学部門(室蘭)にて講演を予定している.
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Causes of Carryover |
予定していた実験の消化を行えなかった分があるため予想以上に物品消耗費に残額が生じた.また,参加学会の一つが地元開催であったため旅費に残額が生じた.
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