2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K06110
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
奥山 邦人 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (60204153)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 複合多孔質粒子充填層 / 毛管力 / 触媒反応器 / 気液二相流 / パッシブ型 |
Outline of Annual Research Achievements |
多孔質のもつ多様な機能(毛管力, 熱伝達・物質移動促進機能, 触媒担持機能)を利用して、熱源からの熱のみにより, 液体燃料から水素を発生させるパッシブプロセスにおいて、燃料の予熱、気化、反応の各段階に適した物性の異なる多孔質粒子を反応器内に積層設置することにより、各要素プロセスの制御性とプロセス全体の効率を向上させ、効率よく水素を得るための充填層内の熱流体現象の解明と反応器設計の指針を得ることを目的とする。 1年目(平成28年度)は、下端を試料液に浸した多孔質粒子充填反応管の上部側壁を加熱した際に、管軸に沿って(a)液体予熱域,(b)蒸発域,(c)乾燥域の3領域が形成し、かつ蒸発により促進された毛管力により液体と蒸気の定常的な流れ(上方向き)が誘起されるための加熱量条件について、また充填層内の管軸方向温度分布を、実験及び理論により調べた。 2年目(平成29年度)は、先ず、単一種類(粒径と分布が単一のもの)の多孔質粒子を反応管全体に充填した場合、粒子の種類によらず、加熱量の増加とともに(c)の領域が拡がるものの流量が次第に低下していくという傾向があることが示された。次に、加熱区間のみ粒径が大きい(毛管力が小さく透過係数の大きい)粒子を充填した複合粒子充填層の場合について調べた。加熱区間で生じた蒸気の圧力による乾燥域(反応域)の過剰な拡がりが抑制され、加熱量に応じて(誘起される流れの)流量が増加し、複合粒子充填層を用いることにより、蒸気の生成速度を広い範囲において加熱量により制御できることが実験により示された。また理論モデルでは、領域(b)と領域(c)の間で生じる蒸発と凝縮による管軸方向の熱輸送効果(ヒートパイプ)効果をも考慮したモデルに改良することにより(a)~(c)までの全領域に亘る流れとそれに伴う温度分布の予測も可能となった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(a)液体予熱域,(b)蒸発域,(c)乾燥域の3領域の長さや安定性は充填層内の気液の圧力損失と毛管力との釣合いによって決まり、3領域の流動と熱バランスにより反応温度や反応収率などプロセスの性能が決まる。理論解析の前提として必要となる充填層/粒子の特性値(毛管力の液体含有率との関係、透過係数、気孔率)を実測により確認しつつ、加熱時におけるそれらの(a)~(c)各領域長さへの影響を調べ、乾燥域形成時の層内現象の理論的解釈や、反応器内の状態量分布や流量変化などを理論解析することにより予め予測しながら実験を進めることにより、現象理解とプロセスとしての特徴の把握や最適化につながる方向性が見いだされる形で研究が進められており、概ね順調に済んでいると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
1年目、2年目の結果をもとに、実際に触媒を担持した複合多孔質粒子充填層における反応特性実験を行う。反応系としてはメタノールの水蒸気改質反応系(CH3OH+H2O→CO2+3H2)を用いる。供給液にはメタノール水溶液を用いるが、液と蒸気の組成が多孔質層内で連続的に変化する複雑な蒸発過程となることが想定されることから、先ず単一原料成分からなるメタノールの分解反応系(CH3OH→CO+2H2)を用いて実験を行う。すでに予備実験から、水素を含む気体が生成することを確認している。実験及び理論モデル解析を通して、より広い加熱量範囲において水素をより効率よく生成するための多孔質粒子層の特性値や反応器寸法など、反応器設計のための指針を得る。
|
Research Products
(1 results)