2016 Fiscal Year Research-status Report
マイクロコンバスターを利用した超小型自立パワーユニットに関する研究
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16K06114
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
高橋 周平 岐阜大学, 工学部, 教授 (40293542)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | マイクロ燃焼 / 触媒 / 熱電変換 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度においては,空気供給系や熱電素子などの各要素の出力・消費特性を把握し,その結果を踏まえ,燃料流量を変化させた際の燃焼器の熱出力と熱電モジュールからの発電量,必要とする空気量とその際のマイクロブロアの仕事量を調べ,自立して作動する条件をマッピングした.熱電モジュールによる発電部は,従来から実績のあるBi-Te型の熱電モジュールを用いて行い,得られた電力をDC-DCコンバータで昇圧してマイクロブロアを駆動した.この結果,熱出力11.7Wのマイクロコンバスターを用いた条件で,熱電モジュールにおける発電量451mWに対し,DC-DCコンバータを含めたマイクロブロア式空気供給系での消費電力175mWとなり,完全自立システムの構築に成功した.このとき,マッチング抵抗を最適化させることで正味電力として276mWを得ることができ,この値は,最終変換効率に換算して2.36%に相当する.これは,これまで本システムで記録していた最終変換効率1.26%を大きく上回り,また,この出力クラスにおいて完全自立したシステムとして世界最高効率である.また,本年度は安定した燃焼範囲での燃焼器作動のために,燃料供給制御系にマスフローコントローラを用いていたが,今後のオリフィスのみの流量制御を念頭に,小型加圧タンクによる燃料供給特性も把握も行った.この中で,供給時の環境温度と供給量の時間変化の相関などが得られたため,次年度はこれらの知見を使って,完全自立型システムの試作機の作成を行う.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り,各要素の動作特性の把握と安定作動範囲の特定が終了し,12W程度の熱出力に対して,当初の予定(最終変換効率2.0%)を上回る2.36%の最終変換効率を記録した.また,小型加圧タンクによるガス供給特性も,前倒しで実験を行っており,おおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では,まず,初年度の研究で得られた知見から,超小型自立パワーユニット試作機を作成する.試作機作成においては,初年度で得られた最適値の緒元を基準値として,加圧ガス燃料をオリフィスを通して供給する方式を組み合わせて行う.また,試作機を用いて,安定作動範囲の検討と安定作動持続時間の調査を行い,定格運転を長時間行うための課題の洗い出しを行う.また,本システムの安定作動の課題となる環境熱源への確実な放熱のための熱流れ解析を行い,同時に放熱をさらに容易とするための試作機自体のさらなる小型化をめざす.これと同時に,要素試験においては,コールド状態からの着火シーケンスの確立を目指し,当初計画で提案した複数の着火手法の検討を行う.現時点では,装置の簡便化から考えると,電熱コイルによる触媒加熱が有力と考えられるため,まずは,本手法において,どの程度の電力で着火に至るか調査を行う.また,着火直後から定格運転に至るまでの過程において,可燃範囲がどのように広がっているかを把握し,着火後に素早くかつ安定に定格状態となるための条件把握および手法の確立を目指す.
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Causes of Carryover |
初年度は,年度前半で各要素の動作特性の把握を行い,得られた知見を用いてシステムの構築を行った.計画では年度後半で,試作機を作成する計画であったが,試作機作成をテーマに国際共同研究への応募を行っていたため,前倒しで,小型加圧タンクを用いたガス供給特性の調査を行うように計画変更を行った.このため,試作機のための材料費および加工費を次年度に繰り越し,4月以降に試作機作成に取り掛かる.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
小型加圧タンクからの供給時の流量特性や課題も把握できたため,H28年度の知見を踏まえて,具体的に各要素を統合させた試作機の作成に取り掛かる.試作機が完成した後に,試作機を用いた安定動作範囲や最大出力条件などの把握を行う.また,要素試験として,燃焼器のコールド状態からの着火手法の確立に向け,複数の手法を採用してそれぞれの特徴を明らかにする.
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