2016 Fiscal Year Research-status Report
旋回角度可変による管内予混合火炎動的挙動のレーザ画像解析と安定燃焼向上への応用
Project/Area Number |
16K06115
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
小宮山 正治 岐阜大学, 工学部, 教授 (40178372)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 哲 岐阜大学, 大学院工学研究科, 准教授 (30377783)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 予混合火炎 / 逆火 / レーザ誘起蛍光 / 混合挙動 |
Outline of Annual Research Achievements |
火力発電所で使用されるガスタービンの高効率化は二酸化炭素排出抑制に寄与する必要項目であり,このためには燃焼器温度の高温化が肝要となる.しかし,ガスタービンを初めとした大型工業燃焼器に使用される希薄予混合燃焼に関して,逆火の危険性から旋回羽根後流で燃料と空気を急速に混合する必要があり,混合状態が不完全で不均一性が高い予混合状態で火炎を形成するために,高温領域の発生を促進し,光化学スモッグ・酸性雨の原因となる窒素酸化物(NOx) 排出を増加することになる.このため,燃焼器の高温化のためには逆火の危険性を抑制させて均一な混合状態を促進し,安定した火炎状態を維持するための燃焼法を確立することが急務となっている.また,工業用燃焼器は管壁で覆われており,旋回流をともなう流れによる渦崩壊や渦心の歳差運動による火炎の非定常挙動が複雑となる. 本年度はアセトンレーザ誘起蛍光法を利用して,非燃焼時における燃料と空気の瞬時混合状態の可視化を可能とした.誘起蛍光法は比較的受光強度が強いことから微量成分の濃度計測に適する.また,受光波長は入射光波長と異なるために燃焼器の周辺での反射によるミー散乱の影響は干渉フィルターを使用して除去する.しかし,一般には蛍光強度は衝突失活速度のために成分濃度と線形性を持たない.このため,蛍光強度と成分濃度の相関性の検定を行う.Nd:YAGレーザの4倍波励起による予混合器内の燃料と空気の混合状態を可視化する光学系を構築する.受光系にはイメージ・インテンシファイア(I.I.) を装着したCCDカメラを用いる.非燃焼時における異なるノズル境界条件下(旋回羽根形状,回転角度,流量条件)における瞬時濃度分布を計測し,計測データを用いた統計解析を行う.この結果より,混合過程と不均一性の関連性を分析した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
管内での燃料と空気の混合挙動の可視化を可能とした.合成石英管を用いることで,円管内におけるアセトン-LIF計測を可能にし,蛍光強度と濃度との対応関係を明らかにした.異なる3種類の燃料ノズル形状に関して,ノズル出口直後の管内濃度分布,および旋回羽根出口の下流部における濃度分布を計測し,その濃度偏差と火炎特性の関連を示した.また,燃料と空気の混合の不均一性を定量化し,火炎挙動との対応関係の検討を行った.非定常的な混合挙動が生じる濃度場の瞬時空間分布測定として,アセトンレーザ誘起蛍光法(LIF)が適用可能な光学系を構築し,その測定方法の有用性を明らかにした.ノズルから噴出される流れによって形成される濃度場の不均一性に関して,定量的に評価することを行った.空間的な不均一性に関してのパラメータとして,その濃度むらの空間スケールとその偏差を新たに導入した.それによって,濃度むらの空間特性と各パラメータとの関連性を明らかにした.さらに,旋回羽根に直径6mmの平歯車を装着し,これに冠歯車を組み合わせてステッピングモータにより駆動する可変式旋回羽根の製作を進めた.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は非燃焼時における管内PIVによる混合流体の時系列速度分布計測とともに管内旋回流の特性分析を行う.光源には出射側に光ファイバーによる光学系とコリメータを装着した連続発振レーザを用いる.受光系には可視光用カメラレンズ付高速度カメラを使用する.レーザ光による円筒管表面での反射が円管内の粒子画像を阻害する.そこで,高速度カメラを用いた粒子画像測定では測定対象からの前方散乱を利用して計測することで,撮影精度を向上させる.燃料流には少量のオリーブオイルを混入させてトレーサ粒子として用いる.この計測系を応用して,現在製作中の時間可変式旋回羽根により誘起される非定常流れの特性解析を進める.
|