2016 Fiscal Year Research-status Report
リアルタイム内部可視化手法を用いた固体燃料の非定常熱分解メカニズムの解明
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16K06128
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
大徳 忠史 秋田県立大学, システム科学技術学部, 助教 (40452049)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大上 泰寛 秋田県立大学, システム科学技術学部, 准教授 (00375122)
鶴田 俊 秋田県立大学, システム科学技術学部, 教授 (90197773)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 熱工学 / バイオマス / 熱分解 / イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
バイオマス燃焼において,熱分解速度は重要な特性値の一つである.従来,熱分解速度の計測には,熱重量計測(TG)や示差熱量計測(DTA)が用いられてきたが,これらの手法では,試料と雰囲気が温度平衡状態となることを前提としている.試料内部に温度分布が存在する条件下では,TGやDTAを用いた結果からは熱分解過程の正確な評価は困難である.熱分解速度が非定常的に変動するような過程のバイオマス燃焼メカニズムの解明においては,バイオマス内部の状況の変化をリアルタイムで観測することが極めて重要となる.木質系バイオマスを研究対象とし,内部に温度および構造の分布を有する状況下において,試料内部の熱分解挙動をリアルタイムに非破壊で観測を行ない,内部の構造・組成・成分の非定常変化を定量的に評価することを目的としている. 申請者はこれまでSPring-8での非破壊計測手法を非定常熱分解現象に適用し,また同時に重量変化を計測する手法を試みた.また,高温雰囲気中での計測のため試験部自体の熱変形が問題となっていたが対策を施し計測への影響を低減させた.非定常透過計測では熱分解過程にある試料に対し,X線エネルギー値や露光時間を従来と変え解析の可否を検討した.X線透過計測による透過光強度分布の対応から熱分解過程の木質系バイオマス内部の密度分布を解析している.熱分解過程の試料のX線の透過計測結果と,同時に計測している重量変化は概ね対応しているものの,重量計測精度には課題が残り検討が必要である.木材試料だけではなくラボでは成分が既知(αセルロース)等の熱分解・燃焼に関する基礎データの収集も行なった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載の年度研究実施計画をおおむね遂行することができている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の実施計画がおおむね順調に遂行されているため,引き続き当初の計画通り実験室での基礎データ収集とSPring-8での非破壊可視化を継続し,種々の条件(試料材質,昇温速度,最高到達温度,X線エネルギー値,計測速度等)を適用し計測を進め,熱分解現象を定量的に解明する.
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Causes of Carryover |
平成28年度には実験装置を改良し,短い時間ながらもSPring-8で実際に検証および実験を行うことができた.平成29年度は現地での研究がさらに必要となる.なお,SPring-8で行う実験研究は公募申請する必要があるが,状況によっては,高額となるが優先課題としての申請が必要となる.さらに,成果発表や調査研究として国際会議への参加も予定しており,それらを考慮して次年度使用額が発生した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は改良した実験装置を用いてデータの蓄積を行なっていく.ビームタイムの確保のためには上述のように高額となるが優先課題として申請の必要も考えられ,研究費を使用する.実験消耗品の購入,国内外の会議へ参加し成果発表や調査研究のため研究費を使用する予定である.
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Research Products
(5 results)