2016 Fiscal Year Research-status Report
高密度に設置したイオンプローブ群によるノッキングの詳細計測手法の開発
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16K06133
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Research Institution | Hiroshima Institute of Technology |
Principal Investigator |
八房 智顯 広島工業大学, 工学部, 准教授 (50346524)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | イオンプローブ / 伝播火炎 / 詳細計測 / 異常燃焼 / 爆発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,高密度に設置した複数のイオンプローブを用い,ガソリンエンジン内で生じるノッキング(異常燃焼)を,時間的・空間的に高い解像度で計測が可能な技術の開発を目的としている。本手法は可視化や圧力計測など従来のノッキング計測技術に比べて計測部の物理的強度が高く,高速かつ空間的に解像度の高い燃焼計測が可能であるため,ノッキングのような爆発的で高速の燃焼現象の計測に最適である。さらにデトネーション(原発や水素ステーションの事故時に発生しうる水素爆発など)の性質解明に必要な詳細計測も可能である。本計測手法は爆発的な高速燃焼現象に対して広く利用できる詳細計測ツールになり得るものであり,研究期間内に同手法の基本特性を調査し実用化の目処を立てる。 本計測技術の研究・開発は「密閉管内燃焼の計測」と「ガソリンエンジン内燃焼の計測」に分けて研究・開発を進めている。前者の「密閉管内燃焼の計測」においては,管内を伝播する様々なタイプの火炎について詳細な計測データを得ることができるようになり,本計測技術の大きな可能性が徐々に明らかになってきている。本計測手法を用いて密閉管内を伝播する火炎の基礎的な研究も並行して行っており,研究・調査結果を学会発表や学術誌への論文投稿などで発信していく予定である。後者の「ガソリンエンジン内燃焼の計測」については,エンジン内の燃焼を計測することは出来たものの,後述するように問題点も多く残っており,引き続き研究・開発を進めていく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本技術の開発にあたり、「①信号増幅回路の最適化」「②多点信号記録装置の最適化」「③記録データの後処理技術の開発」「④密閉管内燃焼の計測」「⑤ガソリンエンジン内燃焼の計測」の5要素に分けて研究・開発を進めている。 ①と②については,計測対象を密閉燃焼間内の燃焼とした④に対して,ほぼ最適化が完了した。一方で、計測対象をガソリンエンジン内の燃焼とした⑤に対しては,④との出力の違いやノイズ対応などを進め,信号の検出には成功した。 ③の記録データの後処理技術の開発については,データの補間方法や可視化方法の確立が完了し,当初予定していた2年間の開発期間を1年でほぼ完了することができた。また,計測データのアニメーション化もできるようになったことから,直感的な現象理解に役立つと考えられる。 ④の密閉管内燃焼の計測においては,ほぼ計測手法の開発は完了したと考えている。今後は,複数の多点信号記録装置を連携作動させ,より多数のイオンプローブで伝播火炎の検出をすべく,研究・開発を遂行する。 ⑤のガソリンエンジン内燃焼の計測においては,信号の検出には成功したが,エンジンの長時間作動時に火炎の検出信号が喪失してしまうなどの問題が残っている。
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Strategy for Future Research Activity |
本技術の開発にあたり、「①信号増幅回路の最適化」「②多点信号記録装置の最適化」「③記録データの後処理技術の開発」「④密閉管内燃焼の計測」「⑤ガソリンエンジン内燃焼の計測」の5要素に分けて研究・開発を進めている。 ①と②については,ガソリンエンジン内の燃焼⑤について集中的に最適化を進めていく必要がある。特に①については,エンジンの長時間作動時に火炎の検出信号が喪失してしまうなどの問題が残っており,信号検出の阻害要因の解明とその対策方法を今後は重点的に検討する。 ②については,複数の多点信号記録装置を連携作動させ,より多数のイオンプローブで伝播火炎の検出をすべく,研究・開発を遂行する。 ④の密閉管内燃焼の計測においては,本計測手法を用いて密閉管内を伝播する火炎の基礎的な研究も行い,研究・調査結果を学会発表や学術誌への論文投稿などで発信する。
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Causes of Carryover |
わずかな残額が生じたが予算消化的な無理な執行はせず,次年度の予算に繰り込んで有効に使った方が良いと考えた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰越額はわずかであり,当初予定どおりに予算を執行する。
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Research Products
(5 results)