2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K06150
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
白石 俊彦 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 准教授 (30361877)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 機械力学・制御 / 振動学 / 細胞のダイナミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,細胞を知的構造システムとして捉えて,細胞がセンサ,コントローラ,アクチュエータを有すると考え,動的力学刺激が細胞に入力された場合の適応的応答を実験的に検証し,その動的モデルを構築する.さらに,細胞に動的力学環境を与えることで,細胞の分化や3次元組織形成を制御し,再生医療への応用を検討する. 当該年度は,再生医療への応用を目指して,骨芽細胞,軟骨細胞などを対象に,これらの細胞の増殖および分化に対する機械的振動の影響を培養実験により検証した. 骨芽細胞では,振動数12.5~100 Hz,加速度振幅0.25~1 Gにおいて,蛍光標識された細胞内小器官の移動および変形を高感度・高速度カメラにより可視化することにより,これらの振動数および加速度振幅依存性を検証した.その結果,本実験の振動条件および分解能の範囲内では,細胞内小器官の移動および変形の振動数および加速度振幅依存性は確認されなかった.今後は,振動条件および分解能の範囲を広げて実験予定である. 軟骨細胞では,骨芽細胞において増殖に効果的な12.5 Hzと分化に効果的な50 Hzの間の振動数である25 Hzにて,加速度振幅を0.5 Gに設定して,機械的振動の増殖および分化の両立の実現性を培養実験により検証した.その結果,足場を必要としない培養系において,2次元的なシート状の軟骨組織および一部に3次元構造を有する軟骨組織の回収に成功したが,増殖および分化について振動群と非振動群との間に統計的に有意な差は確認されなかった.今後は,実験数を増やして再現性を確認し,さらに細胞種によって効果的な振動条件が異なる可能性があるので,振動条件を変更して実験予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度に計画していた,増殖および分化の促進を両立する可能性がある条件での振動下における細胞培養実験,および細胞応答に対する振動数依存性および加速度振幅依存性検証実験が達成できたため. さらに,次年度に予定していた,再生医療による治療が強く望まれている軟骨の細胞を対象にして,振動下における細胞培養実験が達成できたため.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究実施計画どおり,再生医療による治療が強く望まれている軟骨などについて,動的力学環境による細胞の増殖および分化の制御が可能であるか実証する.
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