2017 Fiscal Year Research-status Report
運動時系列からの個人特徴の抽出と技能教育支援への応用
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16K06156
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
秋月 拓磨 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40632922)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 弘毅 長岡技術科学大学, 工学部, 助教 (40419693)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 身体動作解析 / アトラクタ / 歩行動作 / 特異値分解 / 変数選択 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,人の身体動作に内在するクセや習熟度の違いといった個人の特徴(個人性)に焦点をあて,その定量評価手法の構築と技能教育への応用検証を最終目標とする.定量評価の手法としては,身体動作の時系列データを相空間上に展開し,形成されるアトラクタを用いて動作の類似性を評価する方法を提案した.本手法を核技術として,最終目標に向けた取り組みとして,本年度は(1)身体動作データにおける変数選択手法の検討,および(2)応用検証のための運転動作データの収集について研究をすすめた. (1)については,前年度に引き続き,歩行動作を対象とし,多変量の身体動作データから個人識別に重要なセンサ(変数)を順位付けする方法を検討した.具体的には,ある共通する身体動作(たとえば歩行動作)において,個人間で共通する類似成分と個人に固有な差異成分を特異値分解を用いて抽出する方法(三嶋他, 2011)が知られている.当該手法に基づき,抽出した類似・差異成分と元の身体動作データとの再構成誤差を求めることで,各成分を構成するセンサ(変数)の寄与度を算出する方法を新たに提案した.このことによって,センサの装着位置に基づき,寄与度の高いセンサが装着された部位を個人性評価に重要な身体部位と推定できる. (2)については,応用検証のための運転動作データの収集をすすめた.運転動作のスタイルを一意に定義することは難しいが,経験を重ねるごとに危険な動作や無駄な動作を排除するよう動作の改善がすすむと考えられる.そこで,各被験者にDS 上のコースを複数回運転してもらい,習熟の過程をビデオ,および加速度・角速度センサで記録した.次年度の研究では,収集したデータから,経験に対する運転動作の変化を提案手法によって捉えられることを検証する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べたように,平成29年度は提案するアトラクタ解析法の実データへの適用に向けて,大きく以下の2項目を実施した.(1)身体動作データの変数選択手法の検討,および(2)実際の運転動作データの収集とその個人性の評価.(1)については,解析コードの作成をほぼ完了した.(2)については,ドライビングシミュレータを用いた被験者実験を行い,また「左折動作」を対象に習熟度の変化を捉えることを試みた.しかし,従来の空間的な変動(振幅やその分散の変化)に着目した特徴量では,個人間での変動が大きく,動作を個人ごと,また習熟度ごとに識別することが困難であった.そこで次年度は提案するアトラクタ解析法を用いて,運転動作の時空間的な変動を同時に加味することで,先述の課題を解決できるか検証する.またこれらの成果については,国際会議ICICIC2017,およびロボティクス・メカトロニクス講演会などの国内外の学術会議にて公表するとともに,Best Paper Award (ICICIC 2017)を受賞するなど学術的な評価も受けている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は,前年度の成果を受けて,アトラクタ解析法の運転動作データへの適用,および個人性の定量評価への応用検証を進める.
第一に,前年度に引き続き運転動作を対象とし,収集したデータから,経験に対する運転動作の変化を提案手法によって捉えられることを検証する.運転動作において解析区間の開始と終了を明確にするために,初心者と習熟者に違いがあることが指摘されている左折動作に着目して解析を行う.
第二に,経験に対する運転動作の変化を提案手法によって捉えられることを検証する.具体的には,1)記録したビデオ映像から目視により運転動作の習熟度を点数化する.点数化には単純かつ客観的な指標を用い,左折動作について熟知している複数名の評点者によって評価する.2)運転動作データに対して,研究実績の概要で述べた(1)の方法を用いて個人性評価に重要な身体部位を算出する.3)重要度の高い身体部位のセンサデータに対してアトラクタを用いた運動時系列の記号化手法を適用し,係数間距離が定義された空間(記号空間)を構築する.4)記号空間内のパターンの分布の位置と広がりを評価することで,運転動作の個人識別を行う.また,クラス内分散・クラス間分散にもとづき,各被験者の習熟度,および有技能者と学習者との差異を定量化し,身体動作に基づく運転操作技能の評価と可視化を試みる.
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Causes of Carryover |
運転操作データの収集実験を行うに当たり,当初調達を予定していた機材の一部を安価な民生品で代替えすることができたため,当初計画より経費の節約ができた.一方,運転動作の習熟度を評価するに当たり,実験協力者への謝金等が必要なことから,未使用額はその経費に充てることとしたい.また,従来通り,その他に国際会議への参加・発表等,研究発表および打合せのための旅費を予定している.
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Research Products
(13 results)