2019 Fiscal Year Research-status Report
大域的な繰り返し構造に着目したマス・ばね・ダンパ系の波動解析・波動制御
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16K06158
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
長瀬 賢二 和歌山大学, システム工学部, 教授 (70303667)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 振動制御 / 波動制御 / マス・ばね・ダンパ系 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,複雑な結合を有するマス・ばね・ダンパ系に対する波動解析・波動制御法の確立を目指し,システムの大域的な繰り返し構造(ラプラス変換上での1階の漸化式表現)に着目した波動解析・設計法について考えている.特に,従来結果の自然な拡張として,質点が,ばね・ダンパで,多段,もしくは,多方向に結合されたシステム,および,システム特性が周期的に変化するシステムに対し,上記漸化式表現に基づく解析・設計法を検討している. システム結合の大域的な繰り返し構造に着目した波動解析・波動制御に関しては,これまで,多段結合系,すなわち,一方向に連鎖した質点が,隣り合う層に加えてその隣の層以降の質点にもばね・ダンパを介して結合されている状況を考えてきた.従来,システムのマス,ばね,ダンパはすべての層で等しいとしていたが,本年度は,特に二段結合系において,各パラメータが層ごとに一定比で変化する状況へ議論の拡張を行った.また,多方向に結合されたシステムに対しては,平面内に配置された質点が,上下左右の二方向に結合されたシステムを考えており,第一段階として,上下に並んだ二つの質点が,横方向に連鎖する状況において,漸化式の導出を行った. システム特性の大域的な返し構造に着目した波動解析・波動制御に関しては,昨年度より,左右それぞれに一つの接点をもつ一般の受動システムが繰り返し接続されているシステムを考え解析を行っている.従来,一様な状況のみを考えていたが,本年度は,受動システムが適当な構造の縦続結合で構成されていれば,それらが層ごとに一定比で変化可能であることを確認した.また,マス・ばね・ダンパ系に対する波動解析・波動制御法の異分野への展開を目指し,ロボットシステムやテンセグリティ構造体への適用の可能性や,知能材料を用いた制御系実装の可能性についても引き続き検討を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,複雑な結合を有するマス・ばね・ダンパ系に対する波動解析・波動制御法の確立を目指し,システムの大域的な繰り返し構造(ラプラス変換上での1階の漸化式表現)に着目した波動解析・波動制御法について考え,特に,従来結果の自然な拡張として,質点が,ばね・ダンパで,多段,もしくは,多方向に結合されたシステム,および,システム特性が周期的に変化するシステムに対し,上記漸化式表現に基づく波動解析・波動制御法について検討している.本年度は,主に,多段結合系については,従来の一様な場合の結果を非一様な場合に拡張することを考え,特に二段結合系において,従来の一様な場合の結果が,一定比で変化する状況へ拡張可能であることを明らかにした.また,多方向に結合されたシステムについては,平面上に配置された質点が二方向に結合している状況を想定し,第一段階として,上下に並んだ二つの質点が,横方向に連鎖する状況において,漸化式の導出を行った.また,周期システムについても,昨年度行った一般の受動システムが繰り返し結合される場合の結果を非一様系へ拡張することを考え,システムが適当な構造の縦続結合で構成されていれば,それらが層ごとに一定比で変化可能であることを明らかにすることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の展開として,システム結合の大域的な繰り返し構造に着目した波動解析・波動制御に関しては,これまでの多段結合系の結果を,平面内の二方向に結合されたシステムへ展開することを考えている.また,システム特性の大域的な返し構造に着目した波動解析・波動制御に関しては,受動システムの結合の仕方を,これまでの左右それぞれに一つの接点をもつ状況から,左右それぞれに二つ以上の接点をもつ状況へ拡張することを考えている.
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Causes of Carryover |
研究実績等で述べたように,本年度,システム結合の大域的な繰り返し構造に着目した波動解析・波動制御に関する研究において,従来の一様な二段結合系の場合の結果を,一定比で変化する状況へ拡張を行った.本年度内にその研究成果をまとめ,学術論文誌へ投稿,採択が決定した.しかしながら,論文誌への掲載は,本年度中には間に合わず,来年度の前半で,印刷費の支払いも掲載後に行うこととなった.以上の状況から,今年度予算のうち,上記論文誌掲載のための印刷費の概算額を次年度に繰越した.繰越し分は,次年度において,上記論文掲載のための印刷費として執行する予定である.
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Research Products
(5 results)