2016 Fiscal Year Research-status Report
環境適応機能を有した変形移動可能な扁形ロボットの開発と移動作業体への応用展開
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16K06175
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
程島 竜一 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (10432006)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 環境適応推進 / 変形機能 / 扁形ロボット / 移動作業体 |
Outline of Annual Research Achievements |
扁形ロボットの基本的な移動メカニズムを検討し,シミュレーションや実験によりその妥当性を検証した. まず,ユニットである体節を関節を介して縦横に連結した数理モデルを用いて,扁形動物や軟体動物で観察できる代表的な這行運動のPedal-wave推進を基本的な移動方法に採用し,扁形ロボットに適用する場合の運動生成法を検討し定式化した.具体的には,三角関数を基本とした時間関数で関節角度等を表現することで,数種類のパラメータを変更するだけで様々な運動の生成を可能にした. 次に,腹足類における波形を伝播させる移動メカニズムに注目した.これらの移動メカニズムは波形の生成原理が収縮か伸展であるか,進行方向に対して単列で行うか複列で行うかの特徴により4種類に分類されている.そこで4種類の波形伝播方式をPedal-wave推進に反映し動力学シミュレーションを行い,提案する扁形ロボットにおいても腹足類の波形伝播方法による移動を実現できることが確認でき,その後の試作機を用いた実験においてもその妥当性が確認できた.この腹足類を参考とした移動メカニズムを検討する際に,ロボットの構造に等方性がある正方形構造(3行×3列構造)と異方性がある長方形構造(5行×2列構造)でも動力学シミュレーションと実験を行い,それぞれの構造における移動特性を調査した. また,薄型圧力センサをロボットの機体表面に取り付け,側抑制の原理を基に開発したアルゴリズムを開発し,環境適応推進システムを構築した.扁形ロボットが地形に応じて推進方法を変化させ移動していく様子を動力学シミュレーションで確認し,試作機においても同様の運動を行えることを確認した. 最後に,ユニットの連結構造により運動の特性が変化することを確認し,ユニットを頂点とする三角形か四角形構造が基本的な構造となり得ることが判明した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
扁形ロボットの基本的な移動メカニズムを検討し,動力学シミュレーションや試作機を用いた実験によりその検証も行えていることから,本年度に実施した研究はおおむね申請書の計画通りに遂行することができたと考えている. 当初は予想していなかったが,シミュレーションや実験の結果,使用頻度が低い関節自由度があることが判明した.また試作機の開発では,ロボットの構造的な厚さは採用したモータの寸法やその配置方法が大きく影響することが判明した.今回開発した試作機では想定よりロボットの厚みが増しており,ロボット構造の薄型化を検討するべきと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの研究の進捗状況はおおむね順調に進んでいるので,今後は申請書の計画に従い研究を遂行していく予定である. 実験や動力学シミュレーションの結果,関節の自由度を省ける可能性があることが分かった.モータの配置や寸法がロボットの構造的な厚さと深く関係してくるため,今後開発を予定している扁形ロボットの実験機では,モータ数を減らすことでロボットの肥厚化を抑制し薄型化を目指すと共にロボット自体の軽量化を図る. また事前に予測していたことであったが,ロボット本体と移動環境との摩擦が移動運動に大きな影響を及ぼしていることが確認できた.したがって,今後はロボット表面の材質と摩擦との関係についても調査を行うことを考えている.さらに,ロボットの接地面の圧力分布を運動にフィードバックして環境適応推進に反映させられれば,より効率的な移動が可能になったり不整地踏破能力が向上すると考えられるので,このことについても検討していく.
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Research Products
(3 results)