2017 Fiscal Year Research-status Report
環境適応機能を有した変形移動可能な扁形ロボットの開発と移動作業体への応用展開
Project/Area Number |
16K06175
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
程島 竜一 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (10432006)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 扁形ロボット / 機構設計 / 差動機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の結果より「能動2自由度+受動1自由度」の関節構造を採用して,扁形ロボットの自立型実験機を開発した. 当初は「能動3自由度」または「能動2自由度+受動1自由度」の関節構成を検討していたが,柔軟性の向上を目的とした体節の増設を考慮した結果,「能動1自由度+受動2自由度」および「差動型能動2自由度+受動1自由度」の関節構造を検討することとした. まず「能動1自由度+受動2自由度」関節では,サーボモータによる能動1自由度+回転自由な受動1自由度+バネによるコンプライアンスを導入した受動1自由度で関節を構成した.これは前年度で試作した関節構造の能動1自由度を置換した構造である.この構造を採用すると体節間の能動自由度は現象するが,体節の小型化と体節の増設が期待できるためロボットとしての運動性能は制限されないと考えた.実際に関節と試作し検証実験を行った結果,前年度の試作機と比較して小型・軽量化に成功し,体節を増設すればロボット単体としての運動性能が損なわれない見込みが高いことを確認した. 次に「差動型能動2自由度+受動1自由度」関節では,これまで独立に駆動していた2つの関節軸を差動機構を用いて協調駆動するものであり,この機構によりアクチュエータの小型化および体節の増設が実現できる.この設計に関しても実際に試作を行い,所期の性能を発揮できることを確認した. 試作した関節を比較し,より小型軽量化が可能であり高い運動性を発揮しうると期待できる「差動型能動2自由度+受動1自由度」関節を採用した.また移動時の対地適応性の向上を図るため,ロボットの構造材や駆動系に積極的に柔軟材を導入し,市販の安価な圧力センサを複数組み合わせた接触力の大きさ位置を測定する複合センサを試作した.これらの要素を統合し,扁形ロボットの試作機を開発した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
検証実験を目的とした扁形ロボットの試作機を開発し基本動作の確認も終了していることから,本年度に実施した研究はおおむね当初の計画通りである. 今回新たに採用した関節機構ではアクチュエータの協調駆動を導入したため関節の小型軽量化が達成でき,体節の増設が見込めるため,より柔軟で環境適応性の高い移動の実現が期待できる.また設計の結果として,関節の設計自体に関しても有効な知見が得られたため,一般化できる部分をまとめた. 一方,試作した複合センサは現時点では誤差が大きいなどの課題もあるが,調整により改善できる見込みがある.なお,運動性能に大きく関係する環境との摩擦に関しては検討が不足している点がある.継続的に調査していく必要があると考えたため,ロボット接地面の材質を容易に変更可能な構成とした.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの進捗状況はおおむね順調に進んでいるので,今後も申請書の計画に従い研究を遂行していく予定である. ロボットの移動性能については大きく向上させられる見込みがあるため,最終年度である次年度では障害物を利用した推進方法など環境適応的な移動方法について検討する.またロボットの作業性能に関する研究にも注力しロボットハンドのような機能を実現するための基礎検討を行うと共に,産業への応用例を模索し実験により基盤技術としての扁形ロボットの有効性を示す. これらの項目について研究を行った後,本研究をまとめ得られた結果を順次公表していく.
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Research Products
(1 results)