2016 Fiscal Year Research-status Report
フレキシブル衝撃力センサの検出原理の構築と一構成案の提示
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16K06184
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
藤本 由紀夫 広島大学, 工学研究院, 教授 (60136140)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 衝撃力 / フレキシブルセンサ / 圧電フィルム / 分布型センサ / サンドバッグ叩き / 竹刀叩き / 着座衝撃 |
Outline of Annual Research Achievements |
自動車衝突、安全工学、福祉機器やロボット分野で、身体表面での衝撃力計測への要求が高まっている。しかし、身体のような柔軟表面で衝撃荷重を計測できるセンサは現在無い。柔軟表面では衝撃力によってセンサの設置面が凹凸変形する。フレキシブルセンサの実現には、この変形に追従可能で、かつ高速な衝撃力耐えるセンサ構造の開発が課題である。 本研究は、柔軟表面で衝撃力を計測できるセンサの実現には、「どのようなセンサ構造が必要なのか」を数値解析および実験的に考察し、「フレキシブル衝撃力センサ」に必須の力学要件を解明することを目的とする。また、そのプロトタイプを試作してその性能と問題点を明らかにすることを目的とする。センサ素子には高速応答性に優れる圧電フィルムを使用する。 筆者らの従来の研究で、面外変形する柔軟素子を用いると、素子の曲げ、擦り変形によって計測精度が得られないことが明らかになった。そこで本年度は、検出要素に剛性板状の素子を用い、マトリクス状に分布配置した素子同士を導電布で柔軟に接続することでフレキシビリテイを確保するセンサを構想した。プロトタイプとして一辺20mm四角の素子を5x5または3x3に分布配置した3種類のセンサを試作した。そして、ハンマ叩き、サンドバッグでのボクシング打撃,椅子の着座衝撃および剣道竹刀の打撃実験などでセンサの性能と問題点を明らかにした。 試作したセンサの工夫点は検出素子に高速応答に優れる圧電フィルムを使用したこと,衝撃力によって電気配線の断線が生じにくい構造にしたこと、および、計測波形の精度向上のため静電気影響の除去手段を明らかにしたことである。幾つかの課題についての解決手段が得られたが、現時点での最大の課題は、衝撃力によって素子がセンサ内部で高速振動することにより侵入する種々の誤差信号の排除である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進行している。 平板状の小寸法の検出素子を分布配置して、素子の縁部分を相互に柔軟に接続したフレキシブルセンサの検出原理はほぼ解明できたと考えている。現在の課題は次の2点である。 (1)分布型の衝撃力センサを柔軟に作製した場合、衝撃力によって、内部の素子が複雑に振動または運動して、計測波形に悪影響を及ぼすことが明らかになった。この問題を解決すべく種々の方法を試している。 (2)平板上の素子を剛性板状に作製した場合、どうしても素子厚が増加して、素子相互の接続部分のみに柔軟性を持たせる構造になる。これを解決すべく素子自身にも所定の柔軟性を持たせる構造ができないかを検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
身体表面や自動車のダミー人形の表皮に設置して衝撃力を計測できるフレキシブル衝撃力センサの開発を目指す。 (1)剛性のある曲面にセンサを設置した実験と、身体表面程度の弾性率を有する柔軟な曲面にセンサを設置した実験を行い性能確認と改良を行う。 (2)剛性曲面と柔軟曲面上で衝撃力の計測精度を実験的に明らかにする。また、精度に問題が残る場合はその原因を解明しその対策を講ずる。 (3)静電気ノイズを完全に除去するための静電気防止策を開発する。現状でも静電気防止の工夫を行っているが、身体や樹脂部材の帯電が影響して衝撃力波形に影響している。どのようなメカニズムで静電気が入り込むのかを解明する。 (4)センサを身体表面などに取り付けた時の違和感が少なく、衝撃力による耐久性を確保できるセンサの構成原理を明らかにする。
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Research Products
(1 results)